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ビジネス
韓国大統領交代の先を読む

尹錫悦大統領罷免で動き出した韓国大統領選を左右する“不確定要素” 支持率リードの李在明候補が抱える“時限爆弾”の行方

罷免が決まり、大統領公邸を後にした尹錫悦前大統領(EPA=時事)

罷免が決まり、大統領公邸を後にした尹錫悦前大統領(EPA=時事)

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の「非常戒厳宣言」に始まる韓国の政治的混乱と停滞は、韓国憲法裁判所による史上2人目の「大統領罷免」決定により再び大きく動き出した。折しも「トランプ関税」の問題により世界経済の先行きがますます不透明になるなか、6月3日に実施予定の韓国大統領選はどう展開するのか。フリーライターの清水典之氏が、識者2人に話を聞き、大統領選の見通しと、そこに大きな影響を及ぼしかねない“不確定要素”についてレポートする。【前後編の前編】

 * * *
 韓国では4月4日に尹大統領の弾劾が成立。6月3日に次期大統領選が実施されることになった。有力候補に挙げられているのは、野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏。懸念されていた公職選挙法違反の裁判で、3月26日にソウル高裁で無罪判決が出て、4月10日に李氏は大統領選への出馬を宣言した。

 昨年末から続く政治的混乱を経て、現在、韓国では与党と野党のどちらへの支持が厚いのか。尹大統領の「非常戒厳」宣言が出る昨年12月以前から今年1月にかけ、野党は閣僚や与党の政府要人に対し次から次へと弾劾訴追を繰り返していた。それに国民が嫌気したのか、今年1月半ばには韓国ギャラップ社の世論調査で与党「国民の力」の支持率が野党を上回るまでに伸びた。

 しかし、現在は再び野党が逆転し、大統領罷免後の4月6、7日の2日間に韓国ギャラップ社が実施した調査によると、共に民主党の支持率は43%で国民の力の支持率は31%と、野党が12ポイントリードしている。李氏が出馬表明した4月10日に発表された世論調査「全国指標調査」では、李氏は次期大統領候補としての支持率が32%でトップになり、与党だけでなく、野党の他候補も引き離している。

李在明氏「公職選挙法違反」は決着しないまま大統領選に突入?

 しかし、疑問なのは、李氏の裁判の問題(ソウル高裁で無罪判決が出た公職選挙法違反)である。これは完全に解決したと言えるのか。『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)等の著書がある韓国人作家の崔碩栄氏はこう指摘する。

「高裁では無罪判決が出ましたが、検察は即時上告し、最高裁での判決は3か月以内に出るので、選挙前に判決が出る可能性がないわけではない。ただ、もし選挙前に判決が出れば、無罪でも有罪でも選挙に重大な影響を及ぼすのは必至で、韓国の最高裁がそれほどの政治的決断を下すとは考えにくいとの見方が支配的です」

 選挙前に判決が出る可能性は低いかもしれないが、出なかったとしても、それで終わりではない。仮に李氏が選挙に勝ち、大統領就任後に有罪判決が出たら、大統領の地位はどうなるのか。

 韓国の法では、大統領が在職中に罪を犯した場合、公訴時効が停止され、退任後に起訴することとなっている。しかし、李氏のケースは、在任中ではなく就任前の容疑で、今は裁判中だ。しかも今回は任期満了に伴う選挙ではなく、罷免により大統領が不在の状態で行なう選挙で、当選したら即就任するので、大統領に対して判決を下す形になる。

次のページ:「大統領弾劾に憤る保守層」の支持を集める与党候補も

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