韓国野党代表の李在明氏が「親日アピール」を始めた理由とは?(AFP=時事)
大統領による「非常戒厳」宣言に端を発する韓国の政治的混乱については、連日報じられる新聞やテレビの報道内容だけでは理解しづらい面がある。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は捜査機関による「内乱容疑」での身柄拘束後、逮捕・送検、起訴された。並行して、憲法裁判所では国会の弾劾訴追が妥当かどうかについての審理が続いている。今後、大統領が罷免されるかどうかは不明だが、もし、罷免され大統領の交代が決まった場合、日本にはどんな影響があるのか。フリーライターの清水典之氏が識者2人に聞いた。【前後編の後編】
弾劾後、尹大統領率いる与党の支持率が上昇
尹氏の失策を政権交代の好機とみて、野党は、12月27日に大統領代行の韓悳洙(ハン・ドクス)首相の弾劾訴追を議決するなど、与党に対し攻勢をかけている。
そんななか、韓国の調査会社「韓国ギャラップ」が世論調査を実施したところ、意外な結果が出た。1月17日に発表された世論調査の結果によると、与党「国民の力」の支持率が39%となり、5か月ぶりに最大野党「共に民主党」の支持率(36%)を上回ったというのである。
国会で弾劾訴追が議決された尹大統領サイドである与党の支持率が急上昇したのはなぜか。『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)の著書がある作家の崔碩栄氏が言う。
「国民に我慢の限界が来たのでしょう。逮捕状を出したソウル西部地裁の前には数万人の大統領支持者が集まって抗議し、一部、暴徒化しました。ソウルだけでなく、釜山、大田など全国的に多くの保守派市民が集会を開いています。私の記憶では、保守派がこれほどの規模で結集したのは初めてだと思います」(崔氏)
左派と違い、集会やデモを滅多にやらない保守派が数万人規模の集会を開いたところに、怒りの大きさが表われているという。