大学入学者数別で見ると、私立大学では6割超、大学全体でも5割超が総合型選抜あるいは学校推薦型選抜となっている(令和六年度・文部科学省委託調査「大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究」より)
付属校は「勉強せずに大学に進学できる」という幻想
ある生徒は、3年間中学受験に取り組み、憧れの付属校に入学した。
「付属校に入れば勉強せずに大学に行ける」と期待して入学したが、厳しい現実に直面する。学校側からは「ちゃんと勉強をしないと高校から入ってくる生徒たちと同じ学力にならない」と説明をされ、宿題はしっかりと出る。
つまり、高校入試も突破できるぐらいの学力をつけろというわけだ。
高校に入学したら、高校受験組と同じ授業を受けるし、内部進学の競争で負けないためには、中学のうちからしっかり勉強をしなければならないというのだ。
付属校や系列校からの内部進学の枠は広がっているが、希望する学部となるとまた話は別だ。早稲田の付属校や系列校からは政治経済学部や理工系の学部への進学を希望する学生は多いが、一定以上の成績でないとそれらには進学できない。
ある中学受験生の保護者はいう。
「合同説明会で早稲田中学校から『政経学部に進学するためには東大に受かる学力が必要』といわれました。中学受験であれだけ難しい早稲田中高で、トップクラスの成績となるとそうなるのかなと」
学校側は少し大げさにいっているのかもしれないが、保護者は不安になるので、入学後も子どもを塾に通わせる。
そのため、早稲田大学高等学院や立教池袋の内部進学のサポートをする専門塾も存在する。個別指導塾を見ていても「立教女学院の内部進学のサポートをします」「明大中野、中大杉並の内部進学のサポートをします」と具体的に学校名を出して宣伝しているところもある。
ある付属校の保護者はこう苦笑する。
「学校で使っている教科書を持って大手個別指導に相談に行ったら、『中高一貫の進学校と同じテキストなので、うちで指導できます』といわれました。付属校も、進学校と同じテキストを使って本格的に勉強させるんだなと思いました」