かんち氏は「株価が下がった時は買い」と考え、トランプ関税ショックで株を買い増したという(Getty Images)
トランプ米大統領の関税措置やそれに伴う米中貿易摩擦をめぐり、世界の株式市場は乱高下する展開が続いている。NYダウも、トランプ氏がFRB(米連邦制度準備理事会)議長の解任に動くとの情報が流れると急落し、翌日に米財務長官の非公開会合での発言で米中の緊張が緩和すると見方が浮上すると反発するなど、先行きは不透明極まりない。そうした状況を株式投資で億の資産を築いた“億り人”はどうみているのか。
今回、話を聞いたのは、資産8億円で高配当株投資の達人として知られる元消防士のかんち氏だ。投資歴40年以上で、49歳の時に株式投資で資産2億円を築いたことで早期退職。保有銘柄は600を超える超分散投資型のスタイルを取り、ポートフォリオ(資産割合)は「高配当株5:優待株3:成長株2」となっている。年約2400万円の配当金収入があることに加え、優待株でも金額換算で年約120万円分の優待品を手にしているという。
かんち氏は、荒れに荒れる相場について、「この状況下では投資を躊躇する人もいると思いますが、株価は安いほうが買いやすい。長い目で見れば今は買い時だと思います」との見解を示した。配当や優待によるインカムゲイン狙いを主とする長期投資がメインのため、「株価が下がるほど配当利回りも高くなるのが魅力的」(かんち氏、以下「」内は同)とも付け加えた。
トランプ関税は実害が出ても「長くても半年で落ち着く」
関税措置などの混乱要因が今後どうなるかについては、「対中国に関してトランプ氏は引く気がないので、どこまでいくのかは誰にもわからない」としたうえでこう続けた。
「ただ、悲観的になりすぎるのもよくないでしょう。日本の自動車への追加関税の25%にしても、為替が25%円高に振れて1ドル=110円くらいになるのと同じこと考えることもできるわけで、日本の自動車メーカーは1ドル=110円の時代も利益を出していました。
しかも、今の株式市場が不安定になっている要因はトランプ氏という“人”なんです。隕石が落ちたり、大地震で都市が壊滅して株価が暴落しているわけではない。それも“関税をかけるぞ、かけるぞ”と言っているが、まだ実害は限定的な段階。90日間停止の間にトランプ氏が気に入る交渉材料を各国が持ってくるよう求めているということでしょう。90日が過ぎた後に停止が解かれると実害は大きいでしょうが、それでも長くて半年で落ち着くと見ています」