オバ記者こと野原広子氏は「内診に対する身構え方」があるという(写真:イメージマート)
健康を保つためには病院で検診を受けることが重要だ。だがケースに寄っては、その検診自体が精神的な負担につながることもある。女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子氏が、自身が婦人科検診を受けた時の経験から、そうした負担をどう軽減するか考えた。
屈辱感から解放されるための“やり取り”
世間では「性暴力」だの「性被害」だのと騒々しい中、これも“シモネタ”のうちかしら。たいがいの女性が大っ嫌いな、聞くだけで鼻にシワが寄る「婦人科検診の話」。
私が2年前に境界性卵巣腫瘍で子宮と卵巣の全摘手術をしたことはここで何度か書いているけど、がんのようでがんでない。じゃあ、良性腫瘍かというと、そうとも言い切れない。「もう、どっちなんだよッ」とキレたところで始まらないから、手術をした大学病院に言われるまま、半年に一度の検診をしている。で、前回の検査で「うーむ、腫瘍マーカーの数値が少し上がっています。念のためCT検査をしてください」と言われたんだわ。その結果を聞きに行ったところで今回のことが起こったの。
大学病院に行ったことがある人ならわかると思うけど、予約時間はあってないようなもの。今回だって予約票には「診察時間は15時30分~15時45分」って書いてある。ところが、「野原さーん、○番診察室に入ってくださーい」と呼ばれたのは17時の数分前。毎回のこととはいえ、検査結果を伝えられるまで1時間半も待合室で座らされたらロクなこと考えないって。
が、引き戸を開けたら若くてぴちぴちした女医が「CT検査は何の問題もないですね。血液検査は前回と同じく腫瘍マーカーの数値が少し高いですが、まぁ心配はないでしょう」と言う。そして最後に、「今日は内診をしていってくださいね」と歌うように言うの。一瞬、「えっ?」と思ったけどすぐに切り替えて、「はいはい、内診ね」と二つ返事よ。
慣れってすごいね。
前は婦人科検診となると前日から身を清めて心構えして、決戦に臨む女武士のよう。いや、決戦というより切腹かしら。「さぁ、煮るなり焼くなり勝手にしやがれ!」と大きく息を吸ってあの椅子(内診台)に座る、だけじゃ気が済まない。私は内診が終わると、居合わせた女医や看護師さんに「医療関係者でも内診はイヤですか?」と聞かずにいられなかった。聞くまでもない、100%「そりゃイヤですよ」と言うに決まっている。でもそのやり取りをすると、たったいま受けた屈辱感から解放されるんだよね。
が、婦人科の大手術を経験すると、内診に対する身構え方が変わるんだわ。ズバリ、自分の体から意識を抜く。でくのぼうのようにドテッと体を放り出す、といってもいいかも。そうなるための呪文は、「心頭滅却すれば火もまた涼し!」。こうして仰向けにひっくり返ったガマガエルのようなわが姿を忘れた頃に、「はい、大丈夫で~す」と解放される、はずなんだよ。