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「デートで日高屋は絶対に嫌!」という人がわかっていない日高屋のポテンシャル 安易な妥協ではなく「これで十分」と思える“満足できる選択肢”

気軽に入れる中華チェーン「日高屋」の魅力とは

気軽に入れる中華チェーン「日高屋」の魅力とは

 関東地方で展開する中華料理チェーン「日高屋」(運営元はハイデイ日高)。気軽に安く中華を楽しめる店として重宝している人は少なくないだろう。その一方で、消費者のなかには“安い店”に入ることを気恥ずかしく感じる人もいるようで、「デートでは絶対に嫌」などと敬遠されがちな側面もある。だが、日高屋を侮るなかれ。業績好調が続く日高屋の知られざる魅力を、イトモス研究所所長・小倉健一氏が解き明かす。

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「『おいしい』の定義とは何か。10人が食べて、必ずしも全員ではなく、6、7人が『うまい』と言ってくれるくらいでいいのではないかと私は思っているんです」──これは、ハイデイ日高の創業者・神田正会長(83歳)の言葉だ。経済メディアのインタビュー(プレジデント 2024年11月15日号)にそう語っている。

 ハイデイ日高は、外食業界全体が価格上昇と人手不足に苦しむなかで、安さと品質の両立を実現し、業績を着実に伸ばしている。2025年2月期の売上高は、前年同期比14.3%増、客数も11.4%増となった。月次ベースでは2023年8月から18か月連続で、前年同月比を上回る最高売上を記録し続けている。

 日高屋の強さは、他の外食チェーンと比較すればより際立つ。牛丼チェーン大手の吉野家は、2024年度第1四半期で売上高は増加したものの、人件費と原材料高騰で営業利益率が6%を割り込んでいる。ファミリーレストランのサイゼリヤは低価格帯を維持しているが、海外比率が高く為替リスクが常に存在する。一方で、日高屋は為替の影響をほぼ受けず、国内店舗中心の事業展開により安定した収益構造を築いている。原価率は29.0%であり、主要食材の高騰が続く中でも30%以下に抑えている点は特筆に値する。さらに販売費及び一般管理費の対売上高比率も60.6%と前年同期より低下しており、増収効果をしっかりと利益に結びつけている。

 一方で、クオリティの面では、いまだに「日高屋は安いだけ」という先入観を持つ者もいる。しかし、それは過去のイメージである。野菜たっぷりタンメンや餃子あたりが注目されがちだが、個人的に日高屋の中華丼は特におすすめできる一品である。あんの粘度と具材のバランス、味付けの深み、どれをとっても価格帯を大きく超える品質にある。麺類も過去に比べて格段に改善されている印象だ。とくに塩味系や味噌ベースのラーメンは、チェーン店としての価格と味と量のバランスもいい。安さを実現するための努力の裏には、味の均質化と店舗オペレーションの精緻化がある。

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