筆者も田植えを手伝って、いかに稲作が重労働かがわかった
政府が備蓄米放出を表明しても、コメ価格は高止まりしたままだ。農林水産省が公表している、4月14日から20日までの1週間に販売されたコメの平均価格は5kgで4220円だった。こうした現状に一部からは「農家が暴利をむさぼっているのではないか」といった意見も出ているが、はたしてそうだろうか。先日、農家の田植えを手伝いする経験をしたネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、農家が置かれた状況を踏まえて「日本人とコメ」について考察する。
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正直、コメがどうして高騰しているのか、納得できる説明はありませんよね。コメ農家の人からは、昨年が不作だったことや、海外にコメを輸出し過ぎたからだ、などと言われましたが、理由ははっきりしない。まぁ、「コメが足りない」という報道をした結果、転売目的も含めた買い占めが一斉に発生して高騰した面もあるでしょうが。
先日、私は農家の田植えを手伝いました。ここでコメに対して様々な気付きがあったので報告します。4月29日、この日は佐賀県唐津市の農家・山崎家にとっては年間で最重要な日のひとつ。「この日に田植えをする」という決定をし、手伝ってくれる人をアサインし、実行するのです。田植えの手順をまずは説明します。
苗の容器を軽トラに乗せる筆者
【1】ビニールハウスで育てていた苗(横長の容器に入っている)を軽トラックの荷台に乗せる(※重いんだな、コレが。コレ一つで17.5kg分の玄米になる)。この容器は軽トラ1台で30個搭載可能。軽トラに乗せるのはかなりの重労働。
軽トラをフル稼働
【2】予め業務委託をしていたK氏の田植え機を田んぼにスタンバイしてもらい、この苗を田植え機に移す。一反(約1000平方メートル・50mプールぐらいの大きさ)で20の容器の苗が使われる。
田植えはなかなかの重労働だ
【3】すぐにビニールハウスに戻り、苗の容器を急いで軽トラに乗せる。6つの田んぼに田植えをするため、2台の軽トラをフル稼働させ、「田んぼで田植え機に容器を渡す要員」と「ビニールハウスで軽トラに容器を移す要員」のシフトを組む。
2台の軽トラをフル稼働
【4】延々とこの作業を続け、すべての田んぼに苗を植える。今回は6つの田んぼだったため、180の容器に入った苗が必要。途中、苗が足りないことが明らかになったら、知り合いの農家へ行き、苗を売ってもらう。
田植えも連携プレーだ
このような手順で山崎家は6の田んぼに無事、田植えを終えることができました。いや~、私のような文筆業にとっては腰が痛くなるすさまじい重労働でした。私の田植え手伝いはこれで終わりですが、ここから除草剤の散布やら、雨が降らない時の給水、台風時の対策など色々あるわけで、収穫まで一切気が抜けない状況が続きます。このようにして全国の農家はコメを各家庭に届けているのです。