動き出す小泉進次郎・元環境相(左)と小林鷹之・元経済安保相
政権の崩壊が近づいている。石破茂・首相はトランプ関税や物価高への対策で後手に回り、支持率下落に歯止めがかからない。その先に待つのは単なる「退陣」ではない。現下の危機は、与野党ともに内部に抱え込んできた路線対立を顕在化させ、日本政界に大再編の嵐をもたらすことになる。誰と誰が袂を分かち、どのような合従連衡へと進むのか──。【第1回。全文を読む】
訪米アピール合戦の魂胆
トランプ関税をめぐる日米交渉のさなか、訪米して派手な動きを見せたのが小泉進次郎・元環境相と小林鷹之・元経済安保相だ。
小泉氏は米国留学中に非常勤研究員を務めたCSIS(米戦略国際問題研究所)のセミナーなどに参加。その様子を連日のようにSNSに投稿し、関税交渉にあたっていた赤沢亮正・経済再生相とのツーショット写真までアップして「政府と与党自民党が一体となって次回交渉に臨まなければなりません」と、石破政権を援護する姿勢を強調した。
一方、“コバホーク”の呼び名で知られる小林氏は側近議員5人と訪米。こちらも連邦議員との会談などをSNSに投稿し、米国笹川平和財団での講演では、「他国の動向に右往左往しない日本をつくらなければならない」と右往左往する石破首相の対応を当てこすった。
自民党ベテラン議員は「石破首相の退陣後を見据えたアピール合戦が始まった」と指摘する。
「2人とも“石破がダメならオレがやる”と米国とのパイプを誇示するのが目的。小野寺五典・政調会長らと訪米した進次郎は、政府交渉の側面支援を強調していわば“石破の後継者”の立場を固めたい。石破に距離を置くコバホークは前回総裁選の推薦人たちを引き連れて独自外交を訴えた。次の総裁選はこの2人が軸になるんじゃないか」
だが、トランプ時代の日本の政治に待ち受けているのは単に自民党内のポスト石破争いにとどまらない。与野党内に高まる「消費減税」を軸とする政界大再編の胎動だ。
夏の参院選を前に、政界では消費減税の大合唱が巻き起こっている。