玉木雄一郎氏の国民民主党を中心に各党の減税派が結集する新党勢力も
トランプ関税や物価高への対策で後手に回る石破茂・首相、その支持率下落に歯止めがかからない。苦戦が間違いない参院選の先に待つのは単なる「退陣」ではない。現下の危機は、与野党ともに内部に抱え込んできた路線対立を顕在化させ、日本政界に大再編の嵐をもたらすことになる。そんななか、減税要求の拡大にブレーキをかける財務省の次の狙いこそが参院選後の自民と立憲民主の「増税大連立」だという──。【第3回。全文を読む】
政治の最大の争点は防衛・安保より生活・経済
だが、そんな数合わせの増税大連立構想について、元日本証券新聞社長で経済ジャーナリストの天野秀夫氏は、「トランプの時代には通用しない」と語る。
「トランプ関税に日本の政界と経済界がパニックになっているのは、アベノミクス以来の輸出産業を中心とした産業政策、成長戦略が通用しづらくなるからです。日米交渉で相互関税が多少緩和されたとしても、トランプ政権の高関税路線は今後も続く。日本が経済成長するには、輸出ばかりではなく、内需主導、つまり消費拡大への大きな政策転換が必要になる。にもかかわらず増税路線を取るのは、そこに冷や水を浴びせることになる」
現在、自民党と最大野党の立憲民主で起きている増税・財政再建派と減税・積極財政派の対立の根底には、今後、日本は今まで通り輸出で稼いで国民に増税を課していくのか、あるいは減税で国内消費を拡大していく経済構造を目指すのかという基本政策の違いがある。
だからこそ、「増税大連立」に反発した「減税勢力結集」が大きなうねりとなりうるのだ。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏も、そこが政界大再編の大きな軸になると見ている。
「安倍政権時代は防衛や安全保障が政治の大きな対立軸だったが、今の政治の最大の争点は生活や経済。政策的には財政規律を重視する増税路線か、減税路線かです。影響力を強める財務省主導の政治か、政治主導を取り戻すかの路線対立とも言える。
そうした対立は政党間というより、各党の内部にある。自民党と立憲民主党の財務省寄りの議員を中心に財政規律を重視する大連立の動きが起きれば、増税に向けた数合わせの連立に反発する勢力が飛びだし、国民民主などとの合流に向かって政界大再編につながる可能性がある」