予約制が始まる前、東京・府中運転免許試験場前の歩道には夜明け前から外免切替を求める行列ができていた(2024年10月。撮影:加藤博人)
在日外国人労働者だけでなく、「国際免許」取得が目的のケースも
前出の加藤氏は、「そもそも外免切替が広く注目され始めたのは2023年夏ごろでした」と指摘する。
「当時、中国のSNSに『日本で運転免許を取ろう!』『たった5日で取れた』『練習しなくても一発合格』などの書き込みが現れ、日本の免許取得がブームになって“免許取得のための訪日ツアー”が登場しました。さらに2024年6月頃から政府が知識確認に対応する外国語を最大24言語まで増やしたため様々な国の人が外免切替を求めるようになり、先着順に手続きを行う運転免許試験場の入口前に外免切替を求める外国人の行列ができるようになりました」(加藤氏、以下同)
加藤氏が府中の試験場を取材した際は、中国や台湾、インドネシアやスリランカなどから来た人々が肌寒い中、夜明け前から並んでいたという。
「一番前に並んでいたのはスリランカから来た学生で、『日本で自動車に関する仕事をして技術を習得し、将来的には母国にかえって車関係を仕事をしたい』と話していました。またインドネシアから来た人は日本の建設会社で働いていて、『外免切替をして日本の免許を取れば仕事の幅が広がって待遇がよくなる』と話していました」
中国やベトナムなどジュネーブ条約を結んでいない国の人のなかには、「日本が発行する国際免許」を目的とする人もいるとされる。
「外免切替で日本の運転免許証を取得すれば、日本が発行する国際運転免許証を取得でき、100か国ほどあるジュネーブ条約締結国で車を運転できます。このため最初から国際運転免許の取得を目的として、外免切替を利用する外国人もいます」
夜が明ける前に行列をなす外国人を多くのメディアが取り上げて社会問題化すると、「予約制」を導入する試験場が増加した。加藤氏が現地取材した府中の試験場も予約制になり早朝の行列は解消したが、全国の試験場には外免切替を求める予約が殺到している。現在では申し込みから知識確認まで6か月以上かかる試験場があり、オンライン予約が1分足らずで埋まるケースも報じられた。