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日本の大学受験で中国人向け「カンニング業者」が暗躍 大学側も「怪しいブローカーが存在していることは把握している」と回答

業者が不正で使うとしたスマートウォッチ(廣瀬大介氏提供)

業者が不正で使うとしたスマートウォッチ(廣瀬大介氏提供)

「怪しいブローカーが存在していることは把握」

“合格保証”の宣伝に挙げられている大学で実際に留学生の選考を担当しているという複数の教授にも取材を行なった。教授のひとりはこう話す。

「書類選考や面接試験は複数の教授で行なうため、不正入学は考えにくい」

 一方で、別の教授は「留学生が提出する書類について、明らかに本人が作成したとは考えにくい高度なものがあり、日本語レベルも日本語能力試験の点数と一致しない者がたしかに存在する」と語った。この大学では過去に留学生が提出していた書類の偽造が発覚し、公にはしていないが、退学処分を下した事例があったのだという。

 業者が合格斡旋を謳っていた早慶上智、MARCHの各校、京大、帝京大にも問い合わせた。

 早大は「(不正については)把握しておりません。国籍等の受験生の属性および入試種別を問わず、不正入学があった場合は厳正に対処しております。詳細の公表は差し控えます」、慶大は「本学では、公平・公正な入学試験を実施しておりますが、不正行為が確認された際には厳正に対処します」との回答だった。

 合格率70%とされた京大は「回答を差し控えさせていただきます」、その他の大学も回答を控えるか不正入学の「事実は把握しておりません」としたが、上智大は「怪しいブローカーが存在していることは把握しておりますし、怪しい出願もありますが丁寧な書類審査と、入試種別によっては面接試験を課すことによって適切に対応している状況です」と回答。

 不正入学について、中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「不正入学は中国でかねてから問題視されてきましたが、日本国内ではあまり把握されていない。留学生が増えるなか、こうした認識の差を埋めて不正への十全な対策が求められます」

 JLPTやEJUの点数は留学のみならず、在留資格取得の加点対象となる重要な試験である。高度外国人材の受け入れ拡大を目指す日本にとって、こうした業者が蔓延すれば、政策の根幹を揺るがす事態となりかねないだろう。

【プロフィール】
廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)/1986年生まれ、東京都出身。フリーライター。明治大学を卒業後、中国の重慶大学に留学。メディア論を学び2012年帰国。フリーランスとして週刊誌やウェブメディアで中国の社会問題や在日中国人の実態などについて情報を発信している。

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 関連記事《【スクープ】早慶は600万円、MARCHは500万円…日本の大学受験での中国人向け「カンニング業者」の暗躍 「デバイス使用」と「替え玉受験」の2つの手口》では、中国人業者とのやりとりで明らかになったその手口と金額などについて、詳細にレポートしている。

※週刊ポスト2025年5月23日号

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