かつては抽選くじを偽造する不正も
最近は、事前にスマホアプリで入店順番の抽選を行い、朝の混乱を軽減するホールも多い。また、別人に抽選をさせる不正行為などを防ぐため、抽選機で抽選する際に、抽選した人物の顔写真を撮影し、抽選番号と一緒にプリントアウトするケースもある。
かつてよくあった、抽選箱に入れられた番号くじを引くという方法では不正行為が横行していたという。東京都に住む会社員Cさん(40代男性)が、過去に目撃した不正行為を述懐する。
「20年ほど前の話ですが、毎日パチスロに高設定を入れる優良店があって、そこの朝の抽選ではいろいろな事件がありました。抽選箱に入っているくじを引くスタイルでしたが、抽選が終わった後、そのくじの取引をする客がいるんです。早い番号のくじを買い取っている人もいたし、抽選を引くだけの“引き子”を引き連れて、早い番号を手に入れようとする軍団もいました。そういう取引をするのは一部の常連たちで、部外者である私が早い番号を引いたとしても、取引を持ちかけられることはなかったですけどね」
アナログな抽選方法では「くじを偽造する」というシンプルな不正も行われていたという。
「引いたくじは入店時に店側に回収されるんですが、くじを引いて入店しなければそのくじは手元に残る。その残ったくじを参考にして、早い番号のくじを偽造していた人がいたようです。といっても偽造したくじを使えば同じ番号の人とダブってしまうため、偽造だとすぐにバレそうなものですが、当時の店員はそこまで細かくチェックしているわけでなかったみたいで、上手いこと誤魔化せていたんでしょうね」(Cさん)
昨今はホール側が対策をしっかりするようになり、抽選時の不正を働くことは難しくなっている。前出の藤井氏が話す。
「まず、抽選時のトラブルなどがあったら、SNSなどでホール側の不祥事として拡散されてしまう可能性がある。また不正が見逃されたというようなことがあれば、ホールのイメージが一気に悪くなってしまいます。そういったリスクもあるので、不正への取り締まりも厳しいし、一部の軍団だけが優遇されないような配慮もなされています。
ただ、日頃から抽選を行っているホールはちゃんとしているんですが、通常営業時は抽選をせずに“並び順入店”で、イベント時だけに多くの人が集まると抽選をしているようなホールの場合、たくさんの人数に対応することに慣れておらず、結果的に不手際が発生したり、不正を許したりしてしまうこともある。だからといって抽選が不公平というのはあってはならないことですから、どんなホールでも公平に抽選できるようなシステムやルールが必要だと思います」
多くのユーザーが必死になる朝の抽選。今日もどこかで、入店順番をめぐる人間模様が展開されているのだろう。