トランプ大統領の「減税バズーカ」が再び炸裂へ(写真/EPA=時事)
「関税が導入されれば、多くの人々の所得税は大幅に減税され、場合によっては完全に廃止されるだろう」──。トランプ米大統領が4月27日、SNSで所得税の大幅減税をぶち上げ、「年収20万ドル(約3000万円)未満の人々が焦点になる」と低所得者だけでなく、幅広い層を減税の対象にすることを示した。
トランプ氏は1期目の2017年にも所得税・法人税の大減税を成立させ、実行した。今回はそれに続いて第2弾にあたる巨大規模の「トランプ減税」である。
岸田政権定額減税の100倍超の規模
米共和党は早速、大統領の方針を受けて1期目のトランプ減税を恒久化したうえで、新たに残業代や飲食店で働く人のチップ収入への課税を撤廃し、高齢者には社会保障給付の控除額を引き上げるなど10年間で4兆ドル(約600兆円)にのぼる減税法案を公表した。実に動きが早い。
しかも、今回のトランプ減税の規模は、日本で岸田政権が昨年行なった「定額減税」(約5兆円)の100倍以上とケタ違いなのだ。
経済学者の相澤幸悦・埼玉大学名誉教授は「経済へのインパクトは強い」と語る。
「トランプ大統領は1期目に実施した所得税減税で、7段階ある所得階層のうち5つの階層で税率を引き下げたが、その減税期間は今年末に切れる。そうなれば税率は元に戻り、いわば増税になる。中低所得者層は生活が苦しくなるし、富裕層もお金を使わなくなるから、景気後退の可能性が高いわけです。
そこでトランプ氏は1期目の減税の継続・恒久化とさらなる減税を考えている。米国の歴代政権は財政悪化につながるためなかなか減税できなかったが、その点、トランプ大統領には関税による財源がある。“ おれは財源なしで所得税減税を言っているわけではない。関税を財源に所得税減税をする”というわけですから筋は通っている。
米国では個人消費がGDPの7割を占めており、1期目の減税が恒久化され、それに今回の大規模なトランプ減税が加われば、景気への寄与度は非常に高いでしょう」