長野県の山の中にひっそりと佇む安倍神像神社
その神社は長野県下伊那郡阿南町の山林の中にある。安倍神像(あべしんぞう)神社──。奈良県吉野にある世界遺産・吉水神社の名誉宮司である佐藤素心氏が私費を投じて2023年に建立し、主祭神は安倍晋三大人命(あべしんぞう うしのみこと)。
神社といっても、生木を組み合わせたような鳥居の奥に茅葺きと思われる屋根だけの祠があり、安倍氏の写真の前に小さな賽銭箱が置かれているものだ。
この境内に安倍氏の銅像を建てる計画がある。1メートルの台座の上に立つ175センチの銅合金の全身像だ。
ところが、資金が集まっていない。
安倍神像神社の佐藤宮司がクラウドファンディングで1800万円を目標に資金を募っているが、2回目の募集で集まった寄附は136万1000円。現在は第3次の募集中で、集まった寄附は18人から合計166万1000万円に増えた(5月15日時点)ものの、目標達成率は9.22%にとどまり、残り50日足らずの期間で達成するのは難しそうだ。
安倍氏とは「救う会」の活動で知り合いに
佐藤氏は「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための奈良の会」の元代表だ。どんな人物なのか。奈良「救う会」現代表の植村佳史氏が語る。
「佐藤宮司は元機動隊員で『国民を守る』という気持ちがとても強い人です。吉水神社の宮司だった頃は観光客にも救う会の活動を知ってもらおうと横田滋さん、早紀江さんを呼んで署名活動を行なったこともあります。安倍元総理とは救う会の活動で知り合い、気に入られた。安倍さんが必ず拉致被害者を取り戻してくれると思っていたから、亡くなった事件にショックを受け、『長野の静かなところに安倍神社をつくりたい』と神社を建てた。
台湾には安倍元総理の立派な銅像が建って、昭恵夫人が献花に行ったくらいなのに日本にはない。だから『銅像を建てたい』と聞いた時も宮司らしいなと思いました」