ミドル世代は今後のキャリアをどう考えればよいか
35歳以上のミドル世代になると転職のハードルは一気に高くなると言われる。転職に動くにせよ、動かないにせよ、60歳や65歳など会社勤めをしている人はいずれ定年退職を迎える。ところが、そこまでを見据えた仕事人生の未来図を描けている人は多くないのが実情だ。では、どのような備えをしておく必要があるのか。ミドル世代専門転職コンサルタント・黒田真行氏の著書『いつでも会社を辞められる自分になる』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して解説する。
「会社にとって都合のいい人」に待ち受けるリストラ予備軍への道
いまや「安定した企業」という言葉は幻の概念です。どんな大企業にいようとも、自分のスキルやキャリアに無頓着な人は要注意です。
上司からの指示通り異動を受け入れ、何も考えずにただ頑張る。言われるままに異動を繰り返し、長い期間働いていさえすれば、そのうち評価されるだろう、と思い込んでいる状態は危険です。
たとえば、同じような仕事を、ただ支店や部署を変わるだけで繰り返しているのは、言ってみれば、山登りではなくひたすら山の麓を周回しているようなものです。少しずつ螺旋を描いて山頂に近づいているわけでもない。日々慣れ親しんだ仕事をしているがそこには自己を磨く進歩も、成長もない。
もっと言えば幹部候補として会社から期待されているわけでもない。ただの一兵卒として、ただひたすら仕事をこなしていく。やがて35歳の壁にもまったく気がつくことなく、あっさりと超えていく。その先には、未来のリストラ予備軍としての大きなリスクが口を開けて待ち構えている可能性も高いのに、です。
リストラや希望退職が始まったのは、バブル崩壊後の1990年代以降のことです。その予備軍は、今もなお400万人とも500万人いるとも言われています。まだまだ大企業を中心に、リストラのリスクが多くの人を待ち受けているのです。ところが、「まさか自分はリストラの対象にならないだろう」と思っている人は少なくない。
今がどれだけ平穏であっても、その日々が未来永劫続くとは限らない。ある日突然状況が変わり、居心地の良い場所から放り出されるリスクがあることに気づいておく必要があります。自分がもし35歳を超えていたら、とりわけ苦労するケースがかなり多いということにも。