仕事をする中で、キャリアについて考える時間も取っておきたい
20代前半から60歳すぎまで仕事をするとして、40代はキャリアの中間地点となる。その「キャリアの分岐点」においては自分だけでなく周囲からの見方が変わることを意識する必要があるという。ミドル世代専門転職コンサルタント・黒田真行氏の著書『いつでも会社を辞められる自分になる』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して解説する。
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これまでたくさんのミドル世代の方々と面談をしてきましたが、仕事人生の前半と後半で、キャリアの描き方を異質なものとして考える必要性を感じています。その分岐点になるのが、40代前半です。
40代前半を境にした前半の20年と後半の20年は、まるっきり変わるものになる──そう考えておいたほうがいいでしょう。
私自身も40代後半以降、会社内における役割が変わり、仕事が変わり、ポジションが変わる経験をしてきました。私の場合には、独立もしたので、ここでまた環境は激変しました。
しかし、それ以上に変わったのはこうした表面的な変化ではなく、時間の密度であったり、日々の過ごし方の比重のようなものです。何に時間を使うか。どう日々を過ごしていくか。それは前半の20年とはまるで違いました。
心身面でも変わります。体力も変わるし、健康面でも変化が出る。あるいは心の持ちよう、心のありようも変わってくる。
家族、親、子どもなどの環境も変わり、仕事をめぐる状況にも大きく影響します。自分のことだけを考えているわけにはいかなくなるのです。
後半の20年は、体力は衰えますが、一方で知恵は深まってきます。いろいろなスキルも高まってくる。そして、「時間」というものに意識が向かいます。
若い頃は、夜中も仕事をしたり、遊びもしたりと無茶ができましたが、年をとるとともに、そうはいかなくなります。休まないと体力が持たなくなったり、家族のために使う時間が増えたりと、仕事に没頭する時間が短くなります。
だから、知恵やスキルが重要になる。使える時間が短くなる中、知恵やスキルを使うことで、同じ時間でも密度が変わってくるのです。
ですから、後半の20年は、前半の20年とはまったく違う世界がやってくるというつもりで、キャリア設計をすることが重要になります。
自分が想像する以上に、心身の変化がやってくる可能性が高い。それを織り込み、社会が変化する中で、どんな後半のキャリアを描いていくかを考えていく必要があります。