「トランプ関税ショック」を経て億り人・kenmo氏の取引スタイルはどう変わったのか(Getty Images)
世界の株式市場がトランプ米大統領の関税措置に大きく振り回されている。4月上旬の関税措置発動で急落した日経平均株価は5月中旬には発動前の水準まで戻したものの、先行きは不透明だ。この状況に、“億り人”はどう対応しているのか。
ベストセラー『5年で1億貯める株式投資』の著者・kenmo(湘南投資勉強会)氏は、昨年8月の「令和のブラックマンデー」と今年4月の「トランプ関税ショック」という直近2度の暴落を経て、投資スタイルを見直したという。
トランプ関税の発動により株価が大きく下がった4月7日以降、kenmo氏は「急落局面でも持ち続けたい株」かどうかを吟味し、銘柄を絞る行動に出たと話す。
「トランプ関税ショックで大きくマーケットがクラッシュした4月上旬以降、戦略性のないポジションを大きく削った一方、トランプ関税に関係なく今後伸びていくと思える銘柄が激安水準まで売り込まれており、売った株でできた資金をその1銘柄に全力で投じることにした。
トランプ関税ショック以降、よりマーケットの不確実性が高まったと感じています。この数年は大型株やバリュー株などのシクリカル銘柄(景気循環株)が相場を牽引してきましたが、その流れはいったん落ち着くと考えています。さらに言えば、不景気に突入する可能性もある。“何を買っても儲かる”というような相場ではなくなった。だからこそ、ある程度銘柄を絞る必要があると考えました」(kenmo氏、以下「」内は同)
東証のグロース市場改革にも注目
銘柄を絞っていくなかで、kenmo氏が注目するのが中小型の内需株だ。
「個人投資家の立場で、あえて見極めが難しいトランプ関税の影響を受けやすい外需系の銘柄を触る必要はないと考えています。その点、中小型の内需系の銘柄は比較的ポジティブに見ている。東京証券取引所が、新興企業が上場するグロース市場の上場維持基準を厳しくする動きを見せていることが理由のひとつです。
東証が、上場して5年以内に時価総額100億円を達成できなかったら、市場から退出させるという基準を設けようとしています(現行基準は上場から10年経過後に時価総額40億円以上)。2030年にも基準が厳格化される見通しです。時価総額が100億円に達していない企業は、これからの5年で会社を成長させる方向性を示す開示やコーポレートアクション、成長に繋がる事業投資などを活発化させると考えられるのです」