自らの資産額や社会情勢に合わせて投資のスタイルを変える必要性(写真:イメージマート)
トランプ米大統領の関税政策などにより、株式市場の先行きは不透明極まりない状況が続いている。急落局面では運用資産が大きく減ってしまうこともあるが、株式投資で億超えの資産を築いた“億り人”はそうした状況をどう乗り越えてきたのか。
今回、話を聞いたのは著書『5年で1億貯める株式投資』が7万部のベストセラーとなっているkenmo(湘南投資勉強会)氏。元手300万円で投資を始め、資産額を約3億円まで増やしてきたという。
2012年に本格的に投資を始めたkenmo氏は、株が新高値を超えたタイミングで買い、さらに上がったところで売る「新高値ブレイク投資法」に取り組むなどして、順調に資産を増やしていった。ただ、現在に至るまでのなかで、暴落の影響で株式投資を辞めようと思ったことが一度だけあるという。
「2020年のコロナショックの時だけは一瞬、株を辞めようかと思いました。2018年に資産が1億円を超えて、2020年には1億4000万円ほどになっていた。このペースなら会社を辞められるかな……と頭をよぎったタイミングでコロナショックによって資産は8000万円ほどに激減。“自分には才能がないかも……”と落ち込みました」(kenmo氏、以下「」内は同)
決算をちゃんと見ないといけない
ただ、2か月後には再奮起し、投資スタイルを大きく見直したという。
「失敗すると自分にすごく腹が立つタイプなんです。大きな損失を出した時は必ず反省会をして、次に生かすようにしています。初めて本格的に買ったメガネ事業のジンズホールディングス(当時はジェイアイエヌ)で稼いだ利益を飛ばしてしまった時は、下落トレンドではしっかり逃げないといけないとのでチャートを研究する時間を増やしましたし、コロナショックの時の手痛い失敗からは、“きちんと決算を見て投資判断をしていかないといけない”と学びました。
それまでは、『会社四季報』やマネー雑誌で情報収集をしていましたが、それだけだと情報の鮮度が落ちる。世の中が刻一刻と変わるなかで、会社の一次情報を見て判断しないといけないなと思ったわけです。そこで、『決算モメンタム投資』を取り入れました。決算を起点に株価上昇に勢い(モメンタム)がついた銘柄を買って、上値を追う投資法です。買いに入るのは決算シーズンのみで、そこだけは集中して投資のための時間を取るやり方でした」
決算期以外は、IR動画を見るといった情報収集はするものの、時間の使い方にはメリハリが出る。ちょうどプライベートで子供が生まれた時期だったため、子育てとの両立をするうえでも望ましいスタイルだったという。結果として、資産を再び増やし“億り人”としての現在がある。勉強会やIR説明会にも携わるようになり、2023年には勤め先の会社を退職した。