毎年378万円の配当金を生み出すポートフォリオ
私は2004年に株式投資を始めています。
当初は手探りで試行錯誤しながら投資を続けていました。相場に翻弄されることも多々ありましたが、配当金の記録をつけてリターンの「見える化」をおこなうようになってから、毎日の株価の動きに一喜一憂せず、安定的な運用ができるようになりました。
別掲図1は、私が配当金の記録をつけ始めた2008年からの、税引き後受取配当額の推移です。2008年に169,761円だった配当は、2023年には3,784,014円にまで成長しました。
2008年からの受取配当額の推移(税引き後)
グラフからも一貫して増加し続けてきていることが確認できるかと思います。今後も投資のやり方さえ変えなければ、遠い将来にわたっても高い確率で増加し続けると確信しています。
「株式投資って難しいし、どうせ損しちゃうんでしょ」と言われることも少なくありません。ですが、それは短期的なリターンを求めるからです。長期的なリターンを求めるなら、決してそのようなことはないと断言します。
そもそも世の中には、短期的に大きなリターンを上げることが可能な、再現性の高い手法などは存在していません。なぜなら、そのような手法が存在しているのであれば、誰もが短期間でお金持ちになっているはずだからです。
しかし、現実はそう甘くありません。短期的に大きな利益を得ることができた投資家は、たまたま運が良かったか、あるいは本物の天才かのどちらかでしょう。いずれにせよ、多くの個人投資家にとって、そういった人の真似をするのは難しいと言えます。
その一方で、長期投資では、見える景色が変わってきます。株式を長期保有することで、きわめて高い確率でリターンが積み上がっていくのです。これは歴史が証明しています。
優良企業の株を適正な株価で買い、長期保有していれば、そうそう負けることはありません。資産形成では、長く続けることが最も大切であり、そこに才能は必要ないのです。
長く続けていれば、気づけば勝っている
別掲図2は、2024年3月22日現在における私の保有銘柄の比率を円グラフで表したものです。誰もが知る大型の銘柄が、大部分を占めています。
2024年3月22日現在の保有銘柄
株式投資の世界では、時価総額が小さくあまり知られていない小型株など、奇をてらう銘柄選択が耳目を集めることも少なくありません。しかし、そのような投資は賞味期限が短く、長期保有には向いていないことがほとんど。
過去に人気化した銘柄を少し調べていただければすぐに確認できますが、特定の銘柄が一時的に人気化して株価が暴騰し、その後に暴落するという事態が頻発しています。その株価の上昇と下落が生み出す株価チャートは、さながら富士山のような曲線を描いています。
そこで利益を得るのは、あらかじめその銘柄を暴騰前に仕込んでおいた投資家だけ。反対に損をするのは、人気化した後に飛びついた投資家です。
このような事象は、情報の非対称性が解消されつつある現代においても、たびたび発生しています。
とはいえ、目の前で急上昇していく株価を見てしまったら、手を出さずにはいられないのが人間というもの。
ですが、長期的な視点で株式投資をおこなっていれば、こういった状況から距離を置くこともできます。
なぜなら、大型株であれば機関投資家(銀行、保険会社、年金基金などの大口投資家)が、そのバリュエーションをしっかりと見積もって投資しているケースが多いため、ある程度妥当な株価が形成されていると言えるからです。
この事実だけでも、高く買わされるリスクを軽減してくれる効果が期待できます。
つまり、誰もが知っている大型株を選択することは、それだけで負ける可能性を相対的に低くしてくれるのです。
株式投資では長く続けることが最も大切です。長く続けることとは、すなわち負けないことを意味します。
勝とうとする必要はありません。株式市場から退場させられずに長く続けていると、気がつけば勝っているのです。計画を立てて、ルールを守って、続けていくだけです。そこに才能は必要ありません。
※長期株式投資・著『フルオートモードで月に31.5万円が入ってくる「強配当」株投資』(KADOKAWA)を元に一部抜粋して再構成
【PROFILE】
長期株式投資(ちょうきかぶしきとうし)/1977年生まれ。「日本の配当株」専門の投資家。2004年から株式投資を始め、リーマンショックを経た2009年にポートフォリオを大型配当株メインにスイッチ。以降は安定的に資産を増やし、2023年に長年勤めた会社を45歳で早期退職。現在は投資教育をライフワークとする。2024年の税引き後の手取り配当額は471万円(米国株、J-REIT含む)、運用資産1.8億円。『フルオートモードで月に31.5万円が入ってくる「強配当」株投資』(KADOKAWA)などの著書がある。なお、長期株式投資氏がいま注目している具体的な銘柄については、関連記事の最新インタビュー『《厳選!長期投資向き7銘柄》「配当をもらいながら2030年代の巨大プロジェクトを待つオイシイ銘柄」から「名証上場の割安銘柄」まで長期株式投資氏が解説』にて紹介している。