安定した配当金が早期退職の後押しに(写真:イメージマート)
新NISAが始まって以降、株式投資に興味・関心を持つ人は増えている。ビギナーが投資を成功させるためには、どういったことに気を付ければよいだろうか。年378万円の配当収入を得て、FIREも達成した億り人・投資家「長期株式投資」氏(ハンドルネーム)は、株式投資について「計画を立てて、ルールを守って、続けていくだけです。そこに才能は必要ありません」という。
長期株式投資氏の新著『フルオートモードで月に31.5万円が入ってくる「強配当」株投資』(KADOKAWA)より一部抜粋・再構成、株式投資に取り組む意義を紹介するとともに、年間378万円の配当収入を得るポートフォリオを紹介する。
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サラリーマン生活に終止符を打つことを後押ししてくれた株式投資
FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立を達成することにより早期退職すること)という言葉が、日本でも広く知られるようになってきました。
ライフスタイルの多様化が進み、より自由な生活を送ることを目的として、定年を待たずにリタイアを目指す方も少しずつ増えてきているのではないかと感じています。
私は大学を卒業してから20年以上にわたりサラリーマンとして働きましたが、2023年3月末に45歳で長年勤めた会社を早期退職しています。
毎月の安定した収入を手放し、自分が本当にやりたかった人を育てる仕事(投資教育)を始めてみようと決断できたのは、長期間にわたり株式投資で積み上げてきた、配当キャッシュ・フローがあったからにほかなりません。
その意味では、もし株式投資を始めていなければ、独立はできなかったと言っても過言ではないでしょう。
何をするにせよ、生きていく上でまずは生活基盤を整えることが最も重要です。それにはお金が必要で、お金を稼ぐためには好き嫌いに関係なく仕事をしなくてはなりません。しかし、この生活基盤を安定させる見通しさえ立てば、報酬の多寡にかかわらず、自分のやりたいことを仕事にできる可能性があります。
私の場合は、株式投資を長く続けることで、配当キャッシュ・フローが積み上がっていき、向こう20年間の想定キャッシュ・フロー計算書を作成して、なんとかなりそうだと判断できたことが大きかったと思います。
お金の観点から、どのような状態を構築できればFIREが可能かをシンプルに考えると、【年間の配当キャッシュ・フロー>年間の支出】という状況を構築できれば、ほぼパーフェクトと言えるでしょう。
この場合、配当のみで生活できる状況となるので、生活水準を変えなければ、増配により資産は無限増殖していきます。
とは言え、これは相当に高いハードルとなります。
たとえば、配当利回り4%で年300万円の配当を受け取るのであれば、税金を考慮しなくても7500万円の運用資産が必要です。
しかし、運用を継続しながら資産を少しずつ取り崩していくことを前提とし、また、年金等を考慮に入れて資産運用戦略を練れば、ハードルは幾分下がります。
あるいは、「全く働かない」という完全なFIREではなく、サイドFIRE(資産運用で収入を得ながら、足りない部分を働いて稼ぐ)という選択肢もあります。
人生というステージにおいて、若いうちから本当にやりたいことが明らかになっている人はそう多くないでしょう。また、年齢を重ねるにつれてやりたいことが変わることもあるでしょう。
いずれにせよ、やりたいことがはっきりした時のために、それを実現できる可能性を残しておく、金銭面での準備をしておくことはマイナスにはなりません。それに、自分の好きなこと、得意なこと、やりたいことを仕事にすると、専門的な知識が深まり、自分自身の成長につながりますし、社会に貢献できることも増えていきます。
資産運用で生活の基盤を作り、自分のやりたいことを仕事にできれば、一人ひとりの能力が最大限に発揮されて社会に還元されるのです。
FIREして、自分のやりたいことで世の中に貢献していくという生き方があってもよいのではないか、そのように思います。
誰もが少額ずつ、気楽に始めることができる株式投資は、多くの人にとって重要な資産形成の手段と言えるでしょう。
現時点でFIREやサイドFIREを考えていなくとも、資産形成により、いざとなれば会社を辞めることができるというカードを持つことは、仕事上のストレスを解消してくれるはずです。
つまり、株式投資は人生の選択肢を広げてくれ、自分に合ったライフスタイルを実現するのに大きな助けとなってくれるということ。株式投資の裾野が広がり、多くの方が資産形成の手段の一つとして、株式投資を活用するのが当たり前と言えるような時代がくればと切に願います。