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キャリア
拡大し続ける大学の推薦入試

かつてのAO入試時代とは大違い?東北大学でも早稲田大学でも「総合型選抜の学生は成績がいい」と太鼓判、難関大で推薦入学組が一般選抜組よりも成績が良いカラクリ

推薦入試は「学力が高い生徒を入学させるためのツール」に

 一方で、他の難関私大を取材しても「総合型選抜の学生は成績がいい」という話を聞く。それらの大学は一定以上の評定平均値を出願要件にしているが、学科試験も共通テストも課さない。それなのにどうして入学後、成績がいいのだろうか。

 それは、総合型選抜の対策は、大学での学びの先取りをするからだ。文系の場合、大学受験までは勉強は暗記が中心になるが、大学での学びは論文や学術書を読み、レポートや論文を書くことがメインとなる。その大学での学びに必要な「調べ学習」の学力を問うのが総合型選抜だ。合格者達は文献を読んで、文章を書くことに長けている。彼らは大学入学後、成績がいいのは当然であろう。

 ある大学の文学部・心理学科の教授もこう話していた。

「心理学科は文学部に置かれていますが、実習や実験が多く内容は理系に近いんですよ。ですから文学的な人間の心理を研究したいという感じで入学すると苦戦することが多々あります。中には中退したり、他の学科に編入したりする学生もいます。一方で、総合型選抜で入学してくる学生達は心理学の入門書や論文を読んできているのでそういうミスマッチがないんです。論文に書かれた実験方法を読んで『面白そう。これをやりたい』と思って入学してきます。成績はよくて当たり前です」

 かつてのAO入試はわりといい加減で、面接官が気に入った学生を入学させていたこともあったとしばしば聞く。なぜ、適当なことをしていたかというと、枠が少なく、大学側も推薦入試を重要視してなかったからだろう。難関大学では学力の高い学生は一般選抜で大量に入ってくる。それなら推薦ではちょっと面白かったり、チャーミングに見えたりした学生を入れようという方針だった。しかし、現在はどこの大学も少子化の中で「いかに優秀な学生を入学させるか」を試行錯誤し、そのために推薦入試でもしっかりと選抜をしている。

 推薦入試は「学力が高い生徒を入学させるためのツール」として、今後も拡大していくだろう。

■前編記事《【大学が推薦入試を拡大せざるを得ない事情】日大や東海大も一般選抜率は30%に、より「学力の高い学生」を確保するために一般選抜の枠を減らす大学の戦略》から読む

杉浦由美子氏の著書『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)

杉浦由美子氏の著書『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)

【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/受験ジャーナリスト。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『大学受験 活動実績がゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)が2025年4月に発売。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも日々更新中。

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