閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
ライフ

《人はなぜパチンコに惹かれるのか?》時間と金銭を期待値マイナスの行為に投じる「不合理のカタマリ」だが…若き日の稲盛和夫氏が受けた衝撃とそこから学べる教訓

「パチンコ」の看板も見かけることが少なくなった(イメージ)

「パチンコ」の看板も見かけることが少なくなった(イメージ)

人づきあいの苦手な稲盛に遊びを教えたパチンコ好きの友人

 勤勉な青年だった稲盛は、非生産的な遊技に価値を見出せない。むしろ軽侮の対象であった。友人の行為は理解の範疇外。怠惰の象徴にしか見えなかった。自らの関心は学問の探求にのみ向かう。パチンコ台の前に座る時間は苦痛ですらある。友情と義理で付き合うものの、心は図書館にあった。2人の間には、埋めがたい価値観の断絶が横たわっていた。

〈毎日学校と図書館しか行き来していない、下駄を履いてウロウロしている奴を連れてきて、お金を出して社会見聞をさせてくれる。挙げ句の果ては、2回までは見過ごして、3回目には「それがわからんのか」と言わんばかりに、「ちょっと待てよ」と待たせる。わからないものだから、ますますイヤになってくる私に、最後、自分が勝ったお金でうどんをご馳走する。今まで軽蔑していた男が、みるみる大きな人物に見えてくるわけです。私は少しぐらい勉強ができても、なんと貧相でチンチクリンな男よと、衝撃を受けた。〉

〈実はその後、大学4年生のとき、彼と宮崎県の日南にあるパルプ会社に1ヵ月ほど、一緒に実習に行ったことがあるのです。そのときも彼の紹介だった。研究室の勉強では私が彼に教えてあげ、企業の研究室の中での先輩諸氏との人間的な付き合いや遊び方は、彼に教えてもらいました。たいへん大人びていて、社会人の人たちとも伍してお付き合いができるし、私は彼の後ろをオドオドしながらついて歩いて、「なるほど、こういうときにはこういう挨拶をするのか」と教わったものである。〉

 人づきあいの苦手な稲盛に、遊びを教えたのが、パチンコ好きの友人だったというわけである。

次のページ:愚行権と呼ぶべき自由な領域

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。