日ごろのニュースを株の売買にどう生かす?
●Q:スマホで次のニュースの見出しをみたとき、投資に生かすための情報を取捨選択する考え方として適切でないものを1つ選んでください
【1】政府が創薬ベンチャーの支援をはじめたらしい。いますぐ創薬ベンチャーに投資をすれば儲かるのでは?
【2】電気自動車(EV)化に向けて政府が部品メーカーに支援をはじめたらしい。部品メーカー業界の急成長は期待できないけれど、世界に通用する技術をもつ会社があるか調べてみよう
【3】円安によって貿易赤字が拡大しているけれど、小型株への投資に直結しそうな情報ではないから、このニュースはスルーしよう
【4】コロナ禍に比べ訪日客がだいぶ戻ってきたので、日本の観光やホテル業界にも活気が戻ってきそう。外国人に人気のあるサービスを提供している上場企業がないか調べてみよう
ヒント:毎日の経済ニュースから投資につながりそうな情報だけ拾いましょう
(正解は以下)
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●正解は【1】
日々のニュースを投資に生かすことは大事ですが、ネットを中心に大量の情報があるだけに、「なにを選ぶか?」よりも「なにを捨てるか?」がポイントになります。すべてを拾うことは不可能ですから、「不要な情報には触れない」というスタンスが必須です。
投資につなげる情報を得るには、大前提として集めるのは「自分が理解できるジャンル」の情報であること。そのなかで、投資に直結しそうな情報だけを拾うように意識するといいでしょう。
今回はスマホのニュースを見出しだけでサクサク判断するための設問です。【1】の政府が創薬ベンチャーの支援をはじめるというニュースは、業界にとっては追い風です。ただし、創薬ベンチャーの実態をみると、ほとんどの会社が赤字続きで、上場したあとも赤字が解消せず、期待感だけで株価が上昇する“マネーゲーム”になっている傾向が強いです。
それだけに、政府からの支援を得られたとしても、創薬ベンチャーが本当に世の中に対して付加価値を提供できるようになるかどうかの判断は、慎重にならざるを得ません。
そもそも、創薬ベンチャーは厳しい状況にあるので、政府が支援するという理由だけで投資をするのは少し勇み足だと思います。
【2】は、EVの部品メーカーに政府が支援をするというニュースです。これも【1】と同様に政府が支援をするという事実はプラス材料ですが、それだけで部品メーカーの業績がよくなるわけではありません。政府からの支援を得られることと、実際に業績が向上することは別問題として考えなければなりません。
基本的には、実際に業績が上がらないと株価も上がりません。そのために大事なのは、その部品メーカーが、どんな技術をもっていて、市場にどんな付加価値を与えて、新たに業績を伸ばせるかということです。
【3】は、円安によって貿易赤字が拡大しているというニュースですが、深掘りすれば投資につながる可能性のある情報です。ただし、輸出入に関連する会社は、自動車メーカーのように時価総額が大きい会社が多いです。
貿易関連の仕事をしていたり、この業界に詳しくて得意分野だったりする人以外は、このニュースを深掘りして、投資を検討する必要はないでしょう。
【4】にあるとおり日本政府が外国人の入国規制を緩和してから、インバウンド(訪日外国人旅行者)が増えてきました。コロナ禍で壊滅状態だった観光業界も、本書『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』執筆時点ではにぎわいをとり戻しつつあります。
観光で必要不可欠なのは、「食」「宿泊」「移動」です。観光産業の復活で、こうした業界が伸びていくことが予想されるので、このニュースをきっかけにして投資先を探ることは、とても有益です。
今回は【1】を正解としましたが、厳密にはニュースの拾い方に正解・不正解はありませんから、自分自身が詳しいジャンルや業界のニュースを積極的に深掘りしてみましょう。
【ポイント】日々のニュースから得られる情報を投資につなげる
※遠藤洋・著『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』(ダイヤモンド社)を元に一部抜粋して再構成
【PROFILE】
遠藤 洋(えんどう・ひろし)/1987年埼玉県生まれ。東京理科大学理工学部を卒業後、ベンチャー企業を経て26歳のときに投資で得た資金を元手に独立。本質的な価値を見極め「1年以内に株価3倍以上になる小型株」へ集中投資するスタイルで、最大年間利回り+600%、1銘柄の最大投資益+1760%を達成。短期トレードではなく、本質的な価値を見極め「半年で株価3倍を目指せる小型株」に集中投資するスタイル。『プレジデント』や『経済界』『週刊ダイヤモンド』などメディア出演多数。著書に『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』(ダイヤモンド社)など多数。なお、遠藤氏の最新注目銘柄については、関連記事『《小型株投資の達人・遠藤洋さんの「大化け期待株」6選》M&A仲介、不動産コンサル、人材派遣ほか「大きな伸びしろ」が期待できる理由を詳細解説』にて紹介している。