AI依存で自分の頭で考えない就活生への警鐘
このようにAIツールを利活用する学生が増えているなか、「AI依存」の就活に警鐘を鳴らす声もある。私立大学に常駐するキャリアコンサルタントの男性・Cさん(40代)は、「就職相談に来る学生に、変化が見られるようになった」と指摘する。
「最近、自分自身の頭で考えず、すべて分析ツールやAIに頼ってしまう学生が増えている印象です。ESの文言も似通ったものになり、『ガクチカ』も通り一遍のものが増えている。こちらから質問をすると、自分の頭で考えていないので、『えっと』『それは考えてなかったです』などと、口ごもってしまうわけです。
もちろん、企業の人事担当者もこうした学生を見抜いています。生成AIが書いた文章で仮に内定を取ったとしても、いざ仕事についたらまともな日本語で文章が書けない、というのでは困ります。あくまでも、ツールは出発点や補助として利用し、“自分の頭で考え自分の手で書く”ということを大事にしてほしいです。
仮にAIがオススメした企業に就職したとして、あとから職種とのマッチングが悪かったと判明した場合、『AIのせいだ』と責任転嫁するのでしょうか。学生には後悔しない就活をしてほしいです。そして自己分析を“コスパが悪い”などと考えず、自分自身を掘り下げる貴重な時間だとポジティブに捉えてほしいですね」(Cさん)
生成AIや自己診断ツールが普及するなか、コスパ感覚が強いZ世代の就活生はこうした技術を積極的に活用している。その一方で、AIに頼りすぎる学生が増えたことで、自己の頭で考える機会が失われるほか、自己PRやガクチカが没個性的になるケースも頻発しているようだ。
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