今後も続々と復刻も“懐かしさ”だけではヒットは難しい
ここ数年は『吉宗』だけでなく、かつての人気機種がスマスロで復活するケースが増えている。2023年には、2003年にサミーから発売された『北斗の拳』が『スマスロ北斗の拳』として復活し大ヒットを記録した。その他、『Lサラリーマン金太郎』、『スマスロ バイオハザード5』、『スマスロスーパーブラックジャック』、『スマスロ 緑ドン VIVA!情熱南米編 REVIVAL』など、4号機や5号機で人気を博した機種が、当時のゲーム性を残したままスマスロとなって新たに登場している。
「人気機種のスマスロでの復活は、『スマスロ北斗の拳』の成功によって加速しているイメージです。実際に、当時を懐かしんで打っている中高年のユーザーは多くとも、各機種の評価が必ずしも当時と同レベルで高いわけではありません。『北斗の拳』や『吉宗』はヒットしたと言えますが、期待通りの結果にならなかった復刻機種も多い。『北斗の拳』や『吉宗』ほどの圧倒的な人気があった機種であれば、“もう一度打てる”というだけでそれなりにユーザーをつかむことができるのでしょうが、そこまでの人気ではなかった機種については“懐かしさ”だけでは、洗練された現在の機種には太刀打ちできないということでしょう」(藤井氏)
今後も、かつての人気機種のスマスロ復刻版が続々と登場する予定だという。
「長く噂に上がっているのが『ミリオンゴッド』のスマスロ版です。また『北斗の拳』シリーズの『北斗の拳 転生』の復刻版の噂もあります。これらの真偽は不明ですが、業界がかつてのパチスロユーザーの呼び戻しを狙っているのは間違いない。ただ、ユーザーの定着に大事なのは懐かしい機種を復活させつつも、今の機種に通じるような新要素や機能を入れて、上手く他の機種に移行させていくこと。
また、過去の人気機種の復刻版は比較的射幸性が高いものが多く、そこも少々気になるところです。射幸性が高くなりすぎると、どうしてもユーザーへの負担が大きくなってしまい、反動でユーザー離れにつながる可能性もあり、諸刃の剣になりかねない」(藤井氏)
コロナ禍以降、急速にユーザー離れが進むパチンコ・パチスロ業界の中で、スマスロ人気は希望の光となっている。世代を超えたヒット機種を生み出すべく、メーカーの試行錯誤は続いていく。
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