これまでの説明を全否定すると、突然電話を切り、こちらのSNSをブロックしたため連絡が取れなくなった。B社にも接触を図ったが電話は繋がらず、メッセージで違法性の認識について尋ねたが返信はなかった。中国系ベンダーの存在について、中小企業庁の担当者に見解を聞いた。
「この仕事をしていて、類似の事案がなかったとは申しません。一方、会計検査院は、不正を行なったベンダー事業者の一覧を公表していますが、中国系ベンダーが入っているかについては、そうした目線で考えたことはなく、あくまでも要件を満たした企業が登録業者となっており、そのなかに不正を行なう業者があったということです」
中国人業者が「簡単に申請が通る」と謳う制度の仕組みについて聞いた。
「申請自体がそれほど難しくないというのは、時に褒め言葉でもあります。その分、中小企業のみなさんがご利用しやすい制度ということでもあるわけです。とはいえ、不正は許されません。審査をさらに強化しており、不適当なベンダーは登録取り消しや事業者名の公表、警察への通報などの措置をとることがあります」
不正の撲滅が急がれる。
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【プロフィール】
廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)/1986年生まれ、東京都出身。フリーライター。明治大学を卒業後、中国の重慶大学に留学。メディア論を学び2012年帰国。フリーランスとして週刊誌やウェブメディアで中国の社会問題や在日中国人の実態などについて情報を発信している。
※週刊ポスト2025年7月11日号