60歳からの年間収支と金融資産残高の推移を確認する
収入と支出を記入したら、1年ごとの収支(収入から支出を引いたもの)を計算していきます。退職金を受け取った年は大幅な黒字に、教育費やリフォームなどの支出がある年は大きな赤字に、など60歳以降の収支はなかなか安定しないのが一般的です。
60歳からの年間収支は大きく変動しがちだ
年間収支が計算できたら、現時点での金融資産残高に黒字、赤字の金額を足していくことで、今後の金融資産残高がどのように推移していくか確認します(理想的には、金融資産の運用利回りを反映させ、さらにマイホームなどの不動産や住宅ローンなどの負債も含めた家計版バランスシートの推移を計算しますが、本記事では割愛します)。
金融資産残高が増えていくのか、減っていくのか、またそれぞれどのくらいペースで変化していくのか確認します。ここまでたどり着けば、漠然としていた老後資金不安の原因がかなり明確になってきているはずです。
60~70歳の家計収支は大きく変化するが、それ以降は安定する
60歳代は働き方の変化、住宅ローンの完済、子どもの教育費終了、年金受給開始など、収入、支出ともに大きくブレやすい時期といえます。しかし、70歳以降はそれほど大きなブレはなくなり、安定してくるはずです。
70歳以降の安定してくる状況で黒字なのか、赤字なのか、またそれぞれどのくらいの金額か確認していきます。年金などの収入は決まってきますから、赤字になりそうな場合は基本的に支出を見直していきます。ライフプランシミュレーションを行い、60歳以降のお金が見える化できれば、どの支出を見直せばよいのかなど、具体的に行動につなげていくことができるのです。
今回ご紹介したライフプランシミュレーションは紙と鉛筆(あるいはパソコン)があれば、すぐに作成可能です。まずは手書きで構いませんので、実際に手を動かしながら作成してみましょう。ぜひ老後資金不安を軽減、解消していただければと思います。
【プロフィール】
横田健一(よこた・けんいち)/ファイナンシャルプランナー、株式会社ウェルスペント代表取締役。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者。大手証券会社を経て、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」やYouTubeで情報発信しながら、家計相談やライフプラン・シミュレーションを行い、個人の資産形成をサポートしている。「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」を全面監修。著書に『新しいNISA かんたん最強のお金づくり』(河出書房新社)、最新刊は『増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」』(KADOKAWA)。