あまりにも壮観な品書きが出迎えてくれる
お酒はいつ飲んでもいいものだが、昼から飲むお酒にはまた格別の味わいがある――。ライター・作家の大竹聡氏が、昼飲みの魅力と醍醐味を綴る連載コラム「昼酒御免!」。連載第13回は前回の赤羽から大宮へ、老舗から老舗の昼酒紀行と相成った。【連載第12回】
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赤羽で川魚をつまみに酎ハイをぐびぐびやった5月末、滞在時間の目安である90分をきっちり守った私は、飲み友ケンちゃんともども名店「まるます家」を後にした。
日ごろ、朝の遅い生活をしているので、午前11時からの酒は昼酒というより朝酒。朝飯代わりの鯉こくはじわりと身体を暖め、滋養を体内の隅々まで染み渡らせてくれた感があるけれど、モーニング酎ハイはやはり、軽く効いていた。駅前ロータリーでふと立ち止まり、考える。
はあ、酔っちまったね。これからどうするよ……。お茶でも飯でもないよなあ。と、すると、やはり酒か……。
その刹那。閃きました。大宮へ行こうと。
宇都宮線に乗ってしまえば、大宮までたしか15分くらいか。ということはここから20分もみておけば、目的の店に着けるだろう。なにしろ店は駅からすぐ近くなのだ。そう、昼酒、大衆酒場好きの方の中にはもうピンときている人もいるのではないでしょうか。
そうです、目指すはあの店。「いづみや本店」。大宮駅東口ロータリーに面していますから、ここを目指していって迷うことはないし、目的地を決めずにブラブラ歩くにしても、ごく自然に目にとまる。そして、この店の佇まいの渋さに、吸い込まれるように入店しまうのだ。
店前にある魅力たっぷり過ぎる立て看板