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ビジネス
渦中の「フジテレビ株主総会」潜入ルポ

《フジHD株主総会にジャーナリストが潜入》“ドン”の姿は見当たらず、議長からは笑みが…フジテレビの内部文書から見えた「異例の想定」

議長から漏れる笑み

 8時からアリーナ席で座って待っていると、9時前後に、議長の金光修が、議長席をチェックするためか姿を現した。その顔に薄っすら笑みが浮かんでいるのが、気にかかった。

 株主総会とは、株式会社の組織図上、取締役会より上の最上位に位置し、経営の最高意思決定機関と呼ばれる(会社法295条1項)。会長も社長も、その下にぶらさがる。

「株主会社は誰のもの?」という質問に対する答えとしては、「株主のもの」が正解となる。

 株主総会となると、多くの経営者が緊張の面持ちとなる。 日本の“名経営者”と呼ばれるファーストリテイリングの柳井正が、株主総会で狼狽する姿を、私は見たことがある。

 今回のフジHDの総会では、外資のファンドであるダルトン・インベストメンツから株主提案があり、事実上の株主委任状争奪戦(プロキシファイト)の状態では、一層の緊張が強いられるはず。その金光修が笑みを浮かべる理由はどこにあるのか。スマホで、一通り検索してみるが理由は見えてこない。

 私が事前に手に入れた総務部長の名前が入った内部文書が社内で閲覧されたのは、6月上旬のこと。

 その文書によると、フジHDは、前日24日、午後1時から5時半まで有明アリーナで前日のリハーサルを行ない、当日は、朝7時から準備をはじめ、最長で午後10時までを予定していた。

 総会の開始時間が午前10時なので、1月下旬の10時間会見を超える、最長12時間の前代未聞のロングランの株主総会となる可能性も視野に入れていたのだ。

 私は12時間でも取材できるよう、スマホの充電器、それにメモ帳2冊とB5サイズのノート5冊などを用意し、さらには簡単に食べられるカロリーメイト4箱と飲み物をコンビニで買い込んで、バックパックに押し込んできた。

 * * * 
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【著者プロフィール】
横田増生(よこた・ますお):1965年福岡県生まれ。関西学院大学卒。予備校講師を経て、米アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号取得。『輸送経済』記者、編集長を経て、1999年独立。2020年に『潜入ルポamazon帝国』で第19回新潮ドキュメント賞。『「トランプ信者」潜入一年』で第9回山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞。

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