「強いアメリカ」と「株高」を両立させる“利下げ”というカード
筆者が注目するのは、トランプ大統領が繰り返す利下げ要求の位置づけです。
本来、関税強化や地政学リスクを巡る強硬姿勢は、「アメリカ第一主義」に沿った外交カードであり、トランプ氏が思い描く強いアメリカの象徴でもあります。しかし、こうした施策は企業収益や貿易に悪影響を及ぼし、株式市場にとってはむしろネガティブ材料になりやすいです。
それでも株価が上昇基調を維持している背景には、「利下げ期待」という別のポジティブ材料が必要となります。トランプ氏が本当に描いているのは、「アメリカNo.1」の実現に向けた強い姿勢と、それに見合う高い株価を両立させるためのバランス戦略ではないでしょうか。強硬策を打ちながら、利下げを要求することでマーケットの不安を抑え、株価を維持・上昇させるということです。
利下げは単なる選挙対策というより、“強さと繁栄”を両立させるための金融的カードとして位置づけられている可能性がある――そんな印象を受けています。
史上最高値の今こそ冷静に向き合う
米国株の史上最高値更新は喜ばしいニュースではありますが、その背景には、
・地政学リスクの一時的後退
・トランプ大統領による利下げ圧力
・投資家の期待先行
といった、一時的要因が大きく影響しています。
今後の展開を読む上では、「インフレの再燃」や「関税政策の波及効果」に注意しながら、過度な楽観に流されず、冷静にマーケットと向き合う姿勢が求められます。
【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。