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土俵に埋まるカネ

懸賞金で読む大混戦の名古屋場所 「中日までの懸賞金」トップは横綱・大の里の236本、2位には金星で56本獲得の伯桜鵬が急浮上 人気の「一極集中」が優勝争いを左右する一因に

金星の伯桜鵬は1日にして336万円を手にした

 懸賞を手にするのはその一番に勝った力士だ。中日は大の里が伯桜鵬に敗れ、56本の懸賞は伯桜鵬が手にした。これにより、中日を終えた時点で懸賞獲得本数のトップは大の里が237本で、それに次ぐ2位に79本の伯桜鵬が急浮上。伯桜鵬は獲得した懸賞の7割超が大の里との一番に勝利したことによるものだ。

 大の里に人気が一極集中するほどに、周りの力士は懸賞がモチベーションとなり、全力でぶつかっていくことになる。企業や力士の後援団体が相撲協会に懸賞旗1本あたりに支払う賞金は7万円。場内放送料や取組表掲載料として協会の手数料1万円を引いた6万円が勝ち力士の獲得賞金となる。56本の懸賞がかけられた中日の結びの一番に勝っただけで、伯桜鵬は336万円を手にしたわけだ。

 力士が手にする6万円のうち、3万円は納税充当金として協会が預かり、残り3万円が力士の手取りとなる(夏場所から安全面を考えて懸賞金の袋には1万円、残りは銀行振り込みとなった)。協会関係者が言う。

「懸賞は人気のバロメーターとされるが、上限は60本と決められている。ひとつの取組に集中することで、懸賞旗が何回も回って進行に支障が出るため。若貴時代までは横綱同士の一番でも25本が一応上限とされていた。協会がひとつの企業が一取組に複数の懸賞を懸けることを禁止していた時代の話です。

 それが、2001年に相撲人気が低迷したことへの起爆剤として、懸賞金の本数上限を拡大した。永谷園が高見盛(現・東関親方)に何本かの懸賞をまとめて懸けるのを協会が認めたのがきっかけで、同じ企業の懸賞旗が土俵を回ることになった。場内放送で企業名が連呼されることが話題となり、上限も60本まで増えた」

対戦相手の目の色が変わる

 懸賞の集中が人気力士にはマイナスに働くこともある。相撲ジャーナリストが言う。

「懸賞は大の里にとって勝てば臨時収入になるが、対戦相手にとってもニンジンがぶら下がっているようなもの。“土俵に埋まるカネ”を手にしようと目の色を変えてやってくる。それが奇襲戦になることもあれば、時には捨て身で仕掛けてくることもある。平幕力士なら金星として褒賞金にも影響する。新横綱として大の里がどういった成績で場所を終えられるかのカギにもなるでしょう」

 まさしく中日の伯桜鵬との一番はそんな取組だったのかもしれない。1場所で最も多くの懸賞金を手にしたのは2015年秋場所の白鵬で545本だが、東京開催の本場所だった。大の里が地方場所で、しかも新横綱場所でこの記録を破ることができるのかが注目されている。懸賞本数を見て目の色を変えて向かってくる相手をどれだけ退けられるか。それが昇進場所優勝の成否のカギも握っている。

 土俵に埋まるカネをめぐる事情は複雑だ。驚異のスピードで出世した大の里は、「収入」も大きく伸ばしている。関連記事『《大相撲「給金番付」大公開》幕内全力士の年収概算一覧 収入激増の横綱・大の里よりも「持ち給金」が多い力士がいる理由』では、「土俵に埋まるカネ」について詳細解説している。

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