中日は平幕の伯桜鵬(左)に敗れた大の里(右)
大相撲名古屋場所は中日までを終えて大混戦の様相だ。中日で給金直しとなった力士はおらず、1敗で関脇・霧島、平幕の玉鷲、一山本、草野が並んでいる。新横綱・大の里は中日で伯桜鵬に金星を配給。2敗で追う展開となっている。ただ、各力士が獲得した「懸賞金」に目を向けるとまた違った景色が見えてくる。
今場所は4年ぶりに2横綱が並び立って初日を迎えた。しかしながら、東の正横綱・豊昇龍が2日目から2日続けて金星を配給。4日目まで1勝3敗となって5日目から休場に追い込まれることとなった。相撲担当記者が言う。
「豊昇龍は土俵に上がりたかったが、師匠の立浪親方(元小結・旭豊)から“万全の形で出て、優勝争いをしたらいい”と諭されて休場を決めた。5日目も強行出場して王鵬に敗れて4日連続の金星配給なら94年ぶりの失態となることから、協会サイドが休場勧告したようです」
豊昇龍の途中休場でさらに一極集中
東の正横綱が休場したことで、西の正横綱である大の里に懸賞金が一極集中する現象が起きている。中日までの大の里の獲得本数は236本となった。
今場所は地方場所としては最多の2391本の懸賞が申し込まれており、力士別では大の里に人気が集中して287本で圧倒的1位。2位は大関の琴櫻の159本だった。これに欧勝馬の144本、王鵬の132本、霧島の98本と続き、豊昇龍は96本で6位だった。協会関係者が言う。
「もともと結びの一番や横綱戦を指名する懸賞は多く、2横綱に集中するのが自然な流れと見られていたが、前場所まで豊昇龍に懸けていた『にしたんクリニック』が大の里に変更するなど一極集中に。今場所の大の里は3月の大阪開催の春場所での獲得本数274本を超え、東京開催だった5月の夏場所の509本に迫る獲得本数になると見られていた。
すでに前半で春場所と並ぶ勢い。豊昇龍が休場したことで、5日目の王鵬戦に懸けられる予定だった28本のうち16本が結びの阿炎対大の里戦に回された(1本が琴櫻対阿武剋戦に、残りの11本が取りやめに)。さらなる一極集中の流れになるでしょう」
実際、豊昇龍が休場した5日目から大の里の懸賞は急増。5日目の阿炎戦は38本、6日目の阿武剋戦は45本、7日目の金峰山戦には53本、中日の伯桜鵬戦には56本の懸賞となった。