トランプ米大統領の政策が造船株投資の強烈な追い風に(Getty Images)
トランプ氏が米大統領に再任して以降、その言動に世界は振り回され、不安定な相場環境が続いている。そんななかで資産を守り、賢く増やすためには、どのようにして投資先を見極めればいいのか。ベストセラー『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)著者のたーちゃんさん(50)に、注目の業界とその理由を聞いた。
株価の乱高下に惑わされないためには何を意識すればいいのか。たーちゃんさんが重視するのは景気のサイクルだという。
「景気のサイクルは一般的に4年だと言われています。コロナの頃がどん底だったとすると、あれから4年経ちました。つまり、これからはだんだん景気が悪くなっていく可能性が高い。大前提として、いま私は日本株には弱気です。あまり日本株を買うべきタイミングだと思っていなくて、むしろちょっと手を引いたほうがいい時期かなと。でも、そのなかにも例外があります」(以下、「」内のコメントはたーちゃんさん)
造船銘柄への集中投資
たーちゃんさんが注目するのが造船業界だ。韓国株「HD韓国造船海洋」の1銘柄にほぼすべての財産を投じている。書籍のタイトルは「資産50億円」となっているが、今では80億円にまで膨れ上がったという。造船業界は景気の好不調が激しく、投資先としてはリスクが大きいようにも見える。なぜ造船株に集中投資したのか。
「景気のサイクルが上向きに入れば、この企業は絶対に伸びるという自信がありました。それを裏付けるように、日本銀行が出している企業短期経済観測調査でも、造船は景気が良くなると答えていました。ほとんどの会社が悪くなると答えているなかで造船、不動産、建設の3つだけは良くなると答えていたのです」
さらにトランプ米大統領の政策が強烈な追い風になっているという。
「アメリカは造船に力を入れたいと考えています。敵対する中国との間には太平洋があり、もし対立が先鋭化していくとなると、軍艦などの海軍力が必要になるからです。しかし、アメリカは造船能力が低い。そこで頼りにしているのが韓国の造船業です。
世界中の造船の能力は60%を中国が握り、韓国が30%、日本が10%と続き、アメリカは0.5%ほどです。しかもアメリカは中国の船舶を追い出すために、中国の造った船に対して入港料を課そうともしている。もしそれが現実になれば、世界中の海運会社が中国に発注しづらくなり、ナンバー2の韓国に頼り始めるでしょう」
では、たーちゃんさんが例外的に投資対象になると見ている日本株には、具体的にどのような銘柄があるのか。関連記事の最新インタビュー『【資産80億円の投資家が厳選した4銘柄】造船、倉庫、コメ関連ほか、「がんステージ4の億り人」たーちゃんさんが描く独自の株価上昇ストーリーを特別公開』で詳しく紹介している。
【PROFILE】
たーちゃん/広島大学医学部卒の現役麻酔科医。大学生の時に元手50万円で株式投資をスタート。ゲーム機器などを手がけるセガサミーホールディングス(旧セガ:6460)を購入。2000年には資産500万円に増加。2003年、暴落していたオーストラリアの金鉱株に集中投資して、2005年に資産1億円達成。38歳の時には資産10億円を超え、FIRE(経済的自立と早期リタイア)して専業投資家になるも、半年で復職。2022年にがんが発見され、4度の手術を経て2024年、49歳で肺と肝臓へのがん転移が判明。主治医からは「50歳は迎えられても、51歳はわからない」と宣告される。X(@yhdgj675)は約3万フォロワー。