造船関連株と並行して保有していたのが「サブコン業界」だという(写真:イメージマート)
元手を1万倍に増やした投資手法をまとめた著書『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)がベストセラーとなり、話題となっている億り人・たーちゃんさん(50)。がんステージ4の直腸がんと診断されてからも投資を続け、韓国造船株への一点集中投資で資産をさらに80億円へと増やしたという。
たーちゃんさんの投資スタイルは、直近の業績は悪いものの成長のストーリーが描ける企業に集中投資するという“逆張り”が基本だ。その考え方をもとに、たーちゃんさんが造船業以外にも注目する業界があるという。
「韓国造船一極集中投資をする少し前まで、日本の造船関連株と並行して保有していたのが、サブコン業界です。サブコンとは、空調や電気など大きな建物の内部の工事をしている企業のこと。この業界は、高齢化などで廃業も多く、工事の数に比べて施工業者が足りていないため、常に需給が逼迫しています。その結果、サブコンとゼネコンの力関係が逆転しつつあります。
今までは、ゼネコンがサブコンを抱えていて“言うことを聞きなさい”というかたちで受注単価を抑えていました。たとえば公共事業として病院を建てる際、ゼネコンが10億円で受注したとしたら、抱えているサブコンに“2000万円くらいでオペ室をつくってくれ”といった依頼をしていたわけです」
業績を伸ばす企業を見つけるには「世の中の変化に気づくこと」
しかし現在は、ゼネコンがサブコンを確保できていない状態で工事を受注し、発注者側が自らサブコン業者に依頼するケースが増えているという。
「最近では、ゼネコンに発注しているだけではオペ室はつくれない。しかし、オペ室がなければ病院はできない。そこで直接サブコンに発注者側が依頼をするという現象が起きています。サブコン業界は人手が足りていないので、受注価格も上がっている。必要な工事であるため、ちょっと高くとも発注者側は支払うわけです。その結果ゼネコンから発注されていた時は2000万円だった工事が、直接受注したら4000万円になるといったケースが出てくるんです」
このような変化に気づけるかどうかが、伸びる企業を見つけるうえで重要なポイントだと、たーちゃんさんは説く。
「僕は麻酔科医として病院で働いていて、“空調の業者がつかまらない”といったことを耳にすることがありました。“おや?”と思って業界を調べてみると、単価がどんどん上がり、受注が増えている企業が見つかりました。
最初は世の中の変化にまず気づくこと。そして、その変化により影響を受けそうな業界や企業を調べてみる。見向きもされていなさそうな業界や企業で、製品の単価が上がり、業績を伸ばしてきそうなキラリと光る企業を探す。それが大きく資産を伸ばす秘訣です」
そんなたーちゃんさんが、いま注目しているのはどの銘柄か。関連記事の最新インタビュー『【資産80億円の投資家が厳選した4銘柄】造船、倉庫、コメ関連ほか、「がんステージ4の億り人」たーちゃんさんが描く独自の株価上昇ストーリーを特別公開』では、たーちゃんさんが今注目する4銘柄と理由を詳しく紹介している。
【PROFILE】
たーちゃん/広島大学医学部卒の現役麻酔科医。大学生の時に元手50万円で株式投資をスタート。ゲーム機器などを手がけるセガサミーホールディングス(旧セガ:6460)を購入。2000年には資産500万円に増加。2003年、暴落していたオーストラリアの金鉱株に集中投資して、2005年に資産1億円達成。38歳の時には資産10億円を超え、FIRE(経済的自立と早期リタイア)して専業投資家になるも、半年で復職。2022年にがんが発見され、4度の手術を経て2024年、49歳で肺と肝臓へのがん転移が判明。主治医からは「50歳は迎えられても、51歳はわからない」と宣告される。X(@yhdgj675)は約3万フォロワー。