──たとえば一個のパンを分ける場合も、ただの「パン」じゃなくて「バターたっぷりのパン」とディティールがあるところがユニークですね。
『みるみる数字に強くなるマンガ』より「分数でかけ算やわり算をするには?」
澤藤さん:そういう日常や状況説明にドラマ性があって、“お勉強感”がないのは、特徴的ですね。例えば分数の掛け算の項目では、ただ数字を羅列し、計算の仕方だけを教えるのではなく、主人公がバターが大好きなので、バターのより多く入ったパンを分数を使って導きます。ほかにも、とある男の子が好きな女の子に会える日がいつなのかを考え、それが最小公倍数なのだと気づいたりと、ストーリー自体も楽しめます。サクサク読み進められるので、学生や大人の学び直しとしても人気があるんです。
──英語も同様に、ストーリーがユニークですね。なぜか急に喧嘩が始まっていたりして。
森下さん:どちらが先に殴ったのかを伝えるシーンも、(殴られて)納得がいかない感情に訴えかける描写があります。それを伝えるためにはどういう風に言ったらいいか、まずシチュエーションを先に提示することで、思考力も養われます。最終的には主人公達がライオンに襲われて悲劇に見舞われるなど、従来の英語本ではなかなかない結末にもなっていて目が離せません。もちろんこれらの事件からは、英語の言い回しを学べるようになっています。
読者の感情を引っ張ってくれる展開で、状況が理解しやすい
澤藤さん:このシリーズの主人公は自分です。自分ならどうするのか、と“自分ごと”として考えさせるつくりになっています。詰め込んだ暗記は忘れてしまうけど、ストーリーで見たものって心に残るから、忘れないのかなと思います。