快進撃を続けている「みるみるシリーズ」(下段)とその原書(上段)
受験大国・韓国生まれの学習参考書が売れている。なかでも「マンガ教材」は人気があり、マガジンハウスの「みるみるシリーズ」はマンガとドリルがセットになった新感覚の学習教材だ。
2024年8月に発売した『ゼロからわかる!みるみる数字に強くなるマンガ』(Team.StoryG著/オ・ヨンア訳)は現在3万部を突破。その後この“英語版”、“図形版”、今年4月にはワークブック『ゼロからわかる!みるみる数字に強くなる完全ドリル』を発売し、シリーズ累計で8万部のヒット作になっているという。韓国発の学習教材のどういった点が新しいのか。その魅力について、同社書籍編集部の森下利奈さんと澤藤さやかさんに話を聞いた。【前後編の前編】
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公式の中に隠されたストーリーを理解させる
──韓国の参考書は、日本のものと何がどう違うのでしょう。
森下さん:このシリーズがという話ではありますが、「理解」に重きを置いているんです。例えば日本の数学の学習法って、公式を暗記してひたすら問題を解くようなイメージが強いと思うんですが、このシリーズでは「これを求める公式はこれ!」というような単調な説明はしていません。その公式の中に隠されたストーリーを理解して、“数字と仲良くなろう”という意識があるように思います。
澤藤さん:命令形で「暗記しなさい」とか、「問題を解きなさい」と指示されるのではなく、主人公(=読者)が数字の便利さに気づいていく内容となっているので、スッと頭に入る。そして、体裁的にも色をたくさん使っていたり、書体が優しかったり、吹き出しで説明をしてくれたりと、子どもたちが能動的に楽しみながら数字を理解できる考え方が人気の秘密なのかなと。
“読み物”として親世代にも人気だという
──絵本のようなストーリーで、自然に数字を考えさせる。ドリルといえば正解を答えさせるものが多いなかで、「正しくない話をしている人は誰か答えましょう」というように、“なぜそれが正しいのか”を突き詰めて考えさせる部分がたくさんありますね。
澤藤さん:正しいことよりも、間違いを考えることで、問いのからくりにも迫ることができるのかなと思います。一見遠回りのようでいて、本質的な考え方を誘導しているという感じでしょうか。これも理解に重きを置いているがゆえかもしれません。