『つかめ!理科ダマン』シリーズは累計175万部突破
受験大国・韓国生まれの参考書が、日本でも注目を集めている。なかでも「マンガ教材」は人気があり、韓国生まれの教材を“日本版”として手がけるマガジンハウスの「みるみるシリーズ」はマンガとドリルがセットになった学習教材としてヒットを重ねている。
2024年8月に発売した『ゼロからわかる!みるみる数字に強くなるマンガ』の好調を受け、今年春にはワークブック『ゼロからわかる!みるみる数字に強くなる完全ドリル』(ともにTeam.StoryG著/オ・ヨンア訳)を発売。とはいえ、版元のマガジンハウスに「あまり参考書のイメージがない」という人も少なくないのではないだろうか。韓国発の学習教材に取り組む意義について、同社書籍編集部の森下利奈さんと澤藤さやかさんに話を聞いた。【前後編の後編】
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最初は苦戦したもののシリーズ累計175万部の大ヒットに
──なぜ、韓国の参考書を日本で展開しようと思ったのでしょうか。
森下さん:マガジンハウスでは『漫画 君たちはどう生きるか』が2018年に大ヒットして、子ども向けの漫画に可能性を感じていました。そのタイミングで偶然なのですが、韓国で科学漫画『つかめ!理科ダマン』(以下、『理科ダマン』)が大ヒットしているということを知った編集者が、「やってみたい!」と提案をしたところがスタートです。
韓国では日本以上に受験熱が高いことが有名ですが、学習漫画市場も激戦です。勉強の合間の息抜きに学習漫画を読むそうで、たくさんのシリーズが出ています。国語や歴史などと違って、理科は世界共通ですし、とくに『理科ダマン』は子ども達が気になる身近な疑問を取り上げているので、これならば日本の子ども達にも喜んでもらえるのではないかと考えました。
──たしかに、マガジンハウスに参考書というイメージはありませんでした。
森下さん:マガジンハウスでは2021年から『理科ダマン』シリーズの日本版を展開し始めました。ただ、弊社にとって児童書や参考書は“チャレンジ”だったこともあり、実は『理科ダマン』は発売開始から2年ぐらいは苦戦していました。
読者から寄せられた大量のはがき
──それを突き抜けて、売れるようになるきっかけは何かあったのでしょうか。
森下さん:読者の方たちの声が大きいですね。苦戦はしていたものの、教育熱が高い地域ではよく売れていたり、買ってくださった方が「続きが読みたい」といった声を寄せてくださったりしていたので、内容に自信はありました。そこで2023年ぐらいから改めてPR方法などを見直したら、反響をいただけるようになって。親御さんを中心に「この本がいいらしい」というクチコミがじわじわ広がっていき、人気に火がつきました。