親戚の賠償責任を負う可能性はあるのか
事故や事件を起こして賠償金を請求された本人に支払い能力がない場合、その親族にも支払の義務が生じるのだろうか。実際の相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
親類が詐欺事件で逮捕されました。心配なのは、民事裁判を起こされ、多額の賠償金を払うことになった場合です。本人には支払う術がないとなると、支払い義務は何親等まで影響を及ぼすのでしょうか。例えば、本人の両親が肩代わりをしなければいけなくなりますか。親戚一同、みな不安がっています。
【回答】
詐欺の張本人は、不法行為者として被害者に損害を賠償する義務がありますが、本人以外の者に賠償責任を負わせることは原則できません。
例外的に責任を負う可能性がある者としては、まず詐欺の手助けをした者です。その場合は、一緒に詐欺を働いた共同不法行為者として責任を負います。次に責任を負う可能性があるのは、詐欺犯が誰かに雇われていて、その詐欺が雇われた仕事をする中で行なわれたとすれば、雇い主が使用者責任として損害賠償を負います。
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