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知っておきたい「教育現場」の最新事情

「ダメって言ったよね」「何回言ったらわかるの?」…教育現場で意識される「教室マルトリートメント」とは?身近な言葉が知らず知らずに子どもを傷つけている

大人の一言が子供を傷つけてしまうことも(イメージ)

大人の一言が子供を傷つけてしまうことも(イメージ)

 虐待のニュースが世間を騒がせる中、それに近い概念としてのマルトリートメント(不適切な関わり)が注目されている。そうしたなかで、「何回言えばわかるの?」「ダメって言ったよね」など、教育現場で飛び交うことが少なくない身近な言葉が、“教室マルトリートメント”として、子供を傷つけている可能性があるという。

「ありがちな叱り方」で気付かぬうちに子供を傷つけてしまわないよう、マルトリートメントの定義やその具体例を、日本最大級の教育イベント創設者で、大学特任准教授や学校法人理事など、さまざまな立場や役割で教育に関わる宮田純也氏の著書『教育ビジネス 子育て世代から専門家まで楽しめる教育の教養』から一部抜粋・再構成して紹介する。

子供の権利を侵害する「教室マルトリートメント」

「虐待」と聞くと、大変な暴力や暴言を継続的におこなうニュースに出るような極端で規模の大きなことのように思い、自分には関係がないと思う方もいるかもしれません。ですが、一歩立ち止まって考えてみることも大切です。

 虐待に近い概念として「マルトリートメント(不適切な関わり)」という言葉が注目されています。これは、「親が子どもに対する優位な立場を乱用し、精神的・身体的に子どもを傷つける」という「児童虐待」の概念を広くしたものとイメージすればよいでしょう。

「子どもの権利条約」によると、子どもの主要な権利は次の4つです。

(1)差別されない権利(2条)
(2)子どもの最善が第一に考えられる権利(3条)
(3)生存し健全に成長していく権利(6条)
(4)自分の意見を述べ重視される権利(12条)

 子どもが権利の主体として尊重されるとすれば、マルトリートメントというのはこれらの4つの権利を侵害する行為だと言えます。

 興味深い統計があります。文部科学省が2023年におこなった「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、「不登校のきっかけ要因」の回答が、教員と不登校生徒の本人で大きく異なっているのです。

 たとえば「教職員への反抗・反発」に関しては、教員の回答率が3.5%なのに対して、不登校本人の回答率が35.9%、「教職員とのトラブル・叱責等」に関しては、教員の回答率が2.0%なのに対して、不登校本人の回答率が16.7%となっています。日常のコミュニケーションのなかでの教員本人が気づかない何らかのきっかけが、子どもを傷つけてしまうことがしばしば起こっていることが推測されます。

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