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ビジネス
自衛隊vs中国人民解放軍、もし戦わばシミュレーション

《高まる中国の軍事的脅威》日中の陸海空の軍事力を徹底比較 日本は海上戦闘や航空戦力では優位を保つも、ミサイル・ドローンでは中国が決定的に優位

海上戦闘における装備の質と練度は自衛隊

 中国の空母はどれほどの脅威なのか。

「日中が衝突する場合、中国空母の存在は脅威だが、海上戦闘の経験がない中国が空母部隊をいかに運用できるのかがポイントになるだろう。というのも空母は単艦で作戦を行なわない。空母を空と水中からの脅威から守るため、対空・対潜に優れた駆逐艦など複数の護衛艦艇を伴う空母打撃群で運用される。今年6月に遼寧と山東が太平洋に進出して緊張が高まった。その時はミサイル駆逐艦や支援艦などを随伴していたが、連携作戦が行なえるかどうかは未知数だ。艦隊の防空能力が脆弱ならば自衛隊の長射程ミサイルで撃破することもできるだろう」(同前)

 海上戦闘で日本側が優位と考えられるのは潜水艦と最新鋭の護衛艦の能力があるからだという。

「海上自衛隊の保有する新型のたいげい型など、ディーゼルエンジン搭載の通常型潜水艦の性能は世界一だ。中国はこれに対抗できる対潜能力を持っているとは考えにくく、空母打撃群は港から出ることはできないだろう。さらに海上自衛隊最新鋭のもがみ型護衛艦もそのハイテク度は、恐らく中国海軍の水上艦艇を上回っているだろう」(同前)

 航空戦力はどうか。カギを握るのは第4世代、第5世代機と呼ばれる戦闘機だという。

「中国の第4世代戦闘機はロシアのスホイをベースにしたJ-11、J-15、日本はF-2とF-15。そして中国はJ-20というステルス性能が高い第5世代機を持ち、日本は米国からF-35を購入し、147機を配備する計画だ。航空戦闘は、搭載ミサイルなどの性能が勝敗に影響するが、練度の高いほうが有利になろう。航空自衛隊の戦闘機部隊は、米軍と頻繁に共同訓練を行なっており、高い戦闘技量を身に着けている。実戦経験がない中国航空戦力の戦闘技量には疑問符がつく」(同前)

 逆に中国が決定的に優位なのがミサイルだ。

「軍事衝突するような事態になれば、中国は、中距離弾道ミサイルなどで空自機が使う滑走路や海自艦艇が停泊する港などに攻撃を仕掛けてくるだろう。南西方面に空自戦闘機の基地は那覇空港しかなく、滑走路にミサイルが着弾すれば一瞬にして無力化されてしまう。しかも中国が飽和攻撃で多数のミサイルを撃ってきたらお手上げとなってしまうだろう」(同前)

 さらに今後、重要になるのが無人機(ドローン)だ。中国はドローン大国と言われ、自衛隊基地を狙うとすれば、無人機を群れで飛ばす「スウォーム攻撃」が考えられる。

「中国は海軍の艦艇ではなく、海警局や民兵の偽装漁船などから無人機を飛ばしてくることも想定される。現有の海上保安庁の巡視船は、そのための装備を搭載していなため、対処することはできないだろう」(同前)

 関連記事【《超詳細図解シミュレーション》「自衛隊vs中国人民解放軍、もし戦わば」の帰結 尖閣諸島防衛戦、南西諸島海戦、中国本土ミサイル攻撃、攪乱工作…迫る脅威の現在地】では自衛隊と中国人民解放軍が衝突する3段階のシミュレーションを超詳細図解とともに掲載している。

※週刊ポスト2025年8月29日・9月5日号

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