人生を豊かにするために
緩和医療専門医の大津秀一氏はその著書『死ぬときに後悔すること25』において、人は人生の最後にどのようなことを後悔するのかについて末期患者との対話から言葉を紡いでいます。
「人間は後悔とは不可分の生き物である。現実問題、私が見届けてきた患者さんたちは、大なり小なり何らかの『やり残したこと』を抱えていた。だから皆、程度の差こそあれ、後悔はしていた。けれども、その後悔の程度には大きな違いがあった。単純な話だが、明日死ぬかもしれないと思って生きてきた人間は、後悔が少ない。明日死ぬかもしれないと思う人間は、限られた生の時間を精一杯生きようとする人間であり、一日一日に最善を尽くそうとする人間である。一期一会を思う人間である。」(『死ぬときに後悔すること25』大津秀一/致知出版社)
大津氏は「やり残したこと」を25個に集約していますが、その中には「美味しいものを食べておかなかったこと」「仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと」「行きたい場所に旅行しなかったこと」など、少なからずお金が関係している項目も出てきます。
お金を貯めるばかりではなく、美味しいものを食べる、行きたい場所へ旅行する、など使うべきところでは惜しみなく使うことで人生はより豊かになるということを教えてくれます。
消費支出は年齢を重ねるごとに増え続けるというものではありません。平均的には50代でピークに達し、その後は徐々に減少していきます。これは、お金を生み出してくれる資産へ投資して、年金の不足分をカバーできる状態となれば(すなわち毎月の不足額6万7459円)、ある程度の余裕を持ってお金が使えるようになることを意味します。
世帯主の年齢階級別消費支出額