「ステーブルコイン」の規制整備に関する法案に署名したトランプ米大統領(写真:AFP=時事)
ステーブルコインへの関心が急速に高まっている。ステーブルコインは仮想通貨(暗号資産)の一つで、法定通貨と連動し、価値が安定しているのが特徴だ。なぜ、この「安定した仮想通貨」が注目されているのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第158回は、「ステーブルコイン」について。
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近ごろ、「ステーブルコイン」という言葉を耳にする機会が増えてきました。仮想通貨というと、ビットコインやイーサリアムのように価格が大きく変動するイメージが強いですが、ステーブルコインはその逆。価値が安定しているのが特徴です。なぜ今この「安定した仮想通貨」が注目されているのでしょうか?
ステーブルコインとは、ドルや円などの法定通貨と1対1で連動するように設計された仮想通貨のことです。たとえば、「1ステーブルコイン=1ドル」のように、常に一定の価値を保つことを目的としています。この仕組みによって、ビットコインのような急激な値動きを避けることができ、より安心して使える仮想通貨として注目を集めています。
また、ステーブルコインを使えば、わずか数分?数十分で送金が完了するうえ、手数料も数十円?数百円程度と格安です。これは、ブロックチェーンという仕組みを使って、直接相手のウォレット(仮想通貨の口座のようなもの)に送れるからです。為替変動のリスクもほとんどなく、銀行口座がなくても受け取れるため海外送金の手段としても需要が高まっています。
ステーブルコインの中でもよく使われているのが「USDT(テザー)」や「USDC(USDコイン)」といった、アメリカドルに連動するタイプです。これらは、裏で実際にドルを保有することで価値を担保しているとされており、仮想通貨取引所での取引や、国際送金、さらには預金のような用途にも活用されています。
では、ステーブルコインは他の仮想通貨とどう違うのでしょうか?