400億円で売却予定だったという宗右衛門町の物件(ホームページより)
不動産投資商品「みんなで大家さん」のトラブルが益々拡大している。配当がストップする事態となったことを本誌『週刊ポスト』前号(2025年8月29日発売号)で報じたが、騒動はさらに拡大した。配当が2か月連続で止まり、出資者の不安はピークに達している。
行政や金融機関は数年前から事業への疑念を抱き、他の物件で集めた資金を別の事業の配当に回す「ポンジスキーム」の疑いを追及されてきた。この問題を追及してきたノンフィクション作家の森功氏が、共生バンクグループが用意した内部資料の内容を明らかにする。(文中敬称略)【全3回の第3回】
弁護士がお墨付きを与えた調査報告だが…
共生バンクグループ代表の柳瀬健一(59)は、あの今井健仁に書類の作成を依頼したという。今井は先頃、自民党の衆院広島5区支部長公募に応じ、来る総選挙の候補者としての出馬が内定していた東大法学部卒のエリート弁護士だ。もっとも小誌の6月27日・7月4日号で当人が手引きした「イカサマM&A(企業買収)」トラブルを報じ、支部長就任を辞退した経緯がある。
2023年当時、共生バンク会長の柳瀬が、この曰くつきの弁護士に依頼し、問題の資料を作成させているのだ。その〈調査報告書〉で今井は、〈共生バンクグループから開示を受けた以下の資料2点と関連する資料一式についての調査〉として、グループの資産内容に太鼓判を押している。ご丁寧に〈法的問題点を調査する目的〉として、こう結論づけている。
〈法律上(税法を含む)の問題は特段発見されなかった〉
まさに弁護士がお墨付きを与えた調査報告だ。ところが、その調査報告を精査すると、あまりにひどい。今度の配当騒動の渦中、柳瀬が口走った「600億円の資産売却」の対象物件と思われる不動産も、そこに記されている。〈4 西日暮里PJ〉や〈5 宗右衛門町PJ〉、〈6 千葉駅前ビル〉がそれだ。その一つである西日暮里の不動産は、もともと日蓮宗の名刹「延命院」が所有してきた土地を共生バンクグループが2021年7月から地上げしようとしてトラブルになってきた。