行列は続くよどこまでも…(写真:イメージマート)
人間が行列に並ぶのは、その先に「何かいいこと」が待っているからである。当人が「コスパが良い」と感じる、何かがあるのだろう。しかし、行列に並ぶ行為に嫌悪感を抱く人もいる。「人気ラーメン屋で20分行列に並ぶなら、15分歩いて別のラーメン屋に行く」というのは、行列が嫌いなネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。中川氏は行列する人たちから“儲け欲”が感じられると指摘する。
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私が行列を心底嫌いになった記念すべき日があります。それは、1983年5月3日、私が小学校4年生の時のことです。ゴールデンウィークの真っ最中、新しモノ好きの祖母が親戚一同を引き連れて開園直後の東京ディズニーランド(TDL)に行ったのですね。総勢なんと20人。開園前からスタートダッシュをすべく、その前日には20人全員が浦安に住む親戚のマンションに泊まったのです。朝食は1分で完成する「クイック・ワン」というカップ麺。そこまでしてでも祖母はいち早くTDLを体験したかった。
しかし、当日の朝7時半、開園前のTDL前には長蛇の列ができており、我々はすでに乗り遅れていました。開園してから園内に入り、まずは「ホーンテッドマンション」へ。なんと、コレは4時間待ち……。無事に4時間後にライドすることができたのでしたが、数分間のアトラクションのために4時間待つ価値はあったのか。
その後、ジャングルクルーズとカリブの海賊を3~4時間待ちで体験したのですが、もう行列で疲労困憊です。そして19時にスペースマウンテンに並び、1時間半経ったところで「不具合が発生しました。これにて終了します」のアナウンスが。結局、12時間以上TDLにいて、3つのアトラクションしか体験できなかった。並んだ時間は延べ10時間以上。しかも、ゴールデンウィークの帰路は大渋滞で、浦安から神奈川県川崎市の自宅まで3時間かかる。この経験を経て、子供ながらに「行列に並ぶ意味はあるのか?」と根強い疑問を持つようになりました。