ミントの香りが爽やかなモヒート
お酒はいつ飲んでもいいものだが、昼から飲むお酒にはまた格別の味わいがある――。ライター・作家の大竹聡氏が、昼飲みの魅力と醍醐味を綴る連載コラム「昼酒御免!」。連載第17回は、暑い中の移動を経て辿り着いた神楽坂のバーで、本格カクテルを心ゆくまで堪能する。【連載第17回】
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酒場の営業時間が早まっている昨今、昼から飲める場所を探すのに苦労はない。いや、昼飲み自体は昔から、わけはなかった。私などは公園でも河原でも商店街でもどこでも飲む派であったから、「昼酒御免!」と当連載の通しタイトルにしているわりに、御免とは思ってない。隙あらば飲む! これである。
しかも、ちょっと洒落た酒を昼から飲める。昼飲みというと定番はやはりビールであって、サワーやハイボール、お好きな方だと、日本酒をしぶく常温で、なんて感じが主流かと思われるが、バーへ行けばカクテルが飲める。この大酔っ払いがスカしてんじゃないよという叱責も聞こえてきそうだが、別にスカしてるわけではない。
お昼を食べて腹は満ちて、でも、まだ、飲みたい。そんなとき、別の店に入ってビールからやり直すほど旺盛な胃袋は私にはもうないが、バーならば、食後の酒のバリエーションは豊富だ。もう1杯くらいロングのシュワシュワでもいいし、ジンベースのショートをくいっとやるのもいい。もちろん、ウイスキーの選択肢も豊富である。
ということで、実は前回の新丸子「三ちゃん食堂」を出た飲み友ケンちゃんと私は、膨れた腹をさすりつつ、都内のバーを目指した。新丸子から東横線に乗り、途中、急行に乗り換えると、渋谷まではあっという間。そのまま新都心線で東新宿に向かい、そこで大江戸線に乗り換える。するどいご仁にはもう我々の目指す店がおわかりかもしれない。
え? わからん? 失礼をいたしました。大江戸線の下車駅は牛込神楽坂。時刻は午後3時の少し前だ。もう、おわかりか? そう、目指すは神楽坂の名店「サンルーカル・バー」だ。なにしろ人気店だから、席が空いているかちょっと心配だったが、思い切ってドアを開けると幸運なことにカウンターの奥に2席とれた。ほどよくエアコンが効いていて、三ちゃん食堂を出てから酷暑にあえいでいた私も、ようやく人心地がついた。
猛暑の中の移動を経て2軒目に。まだ外は明るい