見知らぬ国際電話番号からの着信に要注意
「+」から始まる番号の国際電話番号が特殊詐欺に利用されるケースが増加している。警察庁によると、2024年中、特殊詐欺に犯行利用された電話番号は昨年に比べて約2倍の8万2540件だった。なかでも国際電話番号の増加が顕著で、前年から約3.5倍となる4万8754件に増えた。なぜ犯行グループは国際電話を選ぶのか。どの国から着信が多く、国によってどのような手口の傾向があるのか。専門家に解説してもらった。【前後編の前編】
050番号に代わって国際電話番号の犯行利用が急増
特殊詐欺やフィッシング詐欺などの対策サービスを提供するトビラシステムズ株式会社の「特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート(2025年7月)」によると、迷惑電話番号の割合は国際電話番号が最多の6割で、高止まりの傾向が続いている状況だという。
なぜ国際電話番号が増加しているのか。同社のセキュリティリサーチャー・柘植悠孝(つげゆたか)氏は、その大きな要因として、悪用しやすい電話番号の変遷との関係性を指摘する。
「当社の調査では、特殊詐欺の犯行に利用される電話番号のトレンドは、過去10年間で大きく変化しています」(柘植氏、以下「」内同)
柘植氏によると、2014年から2020年頃までは、携帯電話番号や固定電話番号(0ABJ番号)が犯行に利用されるケースが多くあったという。その後、2021年頃から特定IP電話番号(050番号)の割合が増加した。
「050番号が固定電話よりも安価に利用できる点や、当時050番号の取得時に本人確認義務がなかった点から、犯行における悪用が急増したと考えられます」
