続いて中国(+86)の番号はどうか。柘植氏は「中国語で大使館をかたる自動音声が流れる場合もあり、日本国内の中国人・中国語話者をターゲットにしている可能性も考えられます」と推察する。
国際電話番号を含む、見知らぬ番号から「番号通知でワン切り」というパターンもある。犯行グループは何を企んでいるのか。柘植氏は「犯人が折り返しの電話を狙っている可能性もあります」と分析する。
「国際電話番号でワン切り着信を残す『国際ワン切り詐欺』もあるので、注意していただきたいです。犯行グループがワン切り電話を無作為に行い、着信者が折り返し電話をすることで、国際電話通話料の一部が海外の通信会社からキックバックとして犯行グループに支払われる仕組みと考えられています」
「詳細は1番を…」自動音声の狙い
SNSでは、国際電話番号から着信があり、留守電に「自動音声」が残っていたというケースも報告されている。詐欺グループの狙いは何か。
「自動音声で『詳細は1番を押してください』などの音声を流し、従った場合は有人オペレーターにつながる手口が増えています。これによって、犯行グループは無作為に自動音声電話をかけ、音声に従った人(=だまされやすい人)だけにターゲットを絞って対応することができます。犯行の自動化・効率化や、成功率を上げる目的も考えられます。
こうした見知らぬ国際電話番号について、柘植氏は、「安易に対応しないことを推奨します」と注意を促す。
「最近の特殊詐欺は国際電話番号を使った手口がほとんどなので、海外に家族や友人がいるなどの心当たりがない限り、国際電話番号から着信があった場合は、まず特殊詐欺を疑っていいかと思います」
特殊詐欺のパターンはさまざまだが、特に警戒すべきものは何か。後編記事では近年急増する詐欺の手口、そして対策について解説する。
■後編記事:《特殊詐欺最新事情》20~30代に「ニセ警察詐欺」の被害が多い理由 インターネットを使いこなせることにつけ込み非接触で犯行が完結、年末年始に向けて気をつけるべきポイントとは