話をすればするほど、個人情報を聞き出される
見知らぬ電話番号の中には特殊詐欺だけでなく、営業や勧誘電話も少なくない。柘植氏が「年末年始に向けて気を付けるべき点」を教えてくれた。
「年末年始は大掃除などをする人も多いため、リサイクル買取の電話に注意。もちろん大半の業者が悪質ではないですが、中には『押し買い』のような行為をする業者もいるため、安易に訪問を許可したり、家に上げたりするのは注意が必要です。年末年始はイベントも多く、大きな買い物をしたり、旅行を計画したりなど、大きなお金が動くことも多いです。宅配事業者やクレジットカード会社などをかたるフィッシング詐欺も多発しているため、警戒してください」
こうした電話トラブル被害に遭わないために、どのような対策、心構えが必要なのだろうか。
「固定電話では、国際電話の発着信を無償で休止できる国際電話不取扱受付センターへの申し込みや、携帯電話は、国際電話の着信規制が可能なアプリの利用もよいでしょう。詐欺師は様々な理由をつけてターゲットを“孤立化”させ、誰にも相談させないよう周囲との連絡を遮断するのが常套手段です。絶対に一人で解決しようとせず、必ず家族や最寄りの警察署、警察相談専用電話(#9110)などに相談していただきたいです」
「心当たりのない電話には出ない」という基本姿勢が重要になると語る柘植氏。だが万が一、電話を取ってしまった場合には、「少しでも怪しいと感じたら、すぐに電話を切ってください」と呼びかける。
「詐欺師は巧妙に話術を展開するため、たとえ『自分はだまされない』と思っていても、少し話をしてしまえば相手の手中に収められてしまいます。話をすればするほど、個人情報を聞き出されたり、被害に巻き込まれたりする危険は高まります」
詐欺の手口をよく理解したうえで、改めて見知らぬ番号の電話に出ないことを徹底したい。
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