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田代尚機のチャイナ・リサーチ
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金相場の高値更新の裏側で起きている価格形成の構造変化 非米国同盟国の間で加速する「ドル依存からの脱却」、中国人民銀行は11か月連続で外貨準備として金を購入

各国の「ドル依存からの脱却」が金価格上昇を後押し(Getty Images)

各国の「ドル依存からの脱却」が金価格上昇を後押し(Getty Images)

 中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。今回は高値更新が続く金(ゴールド)相場の行方についてレポートする。

 * * *
 金先物(COMEX、中心限月)価格には現在、はっきりとした上昇トレンドが発生している。

 過去10年の価格動向をみると、2016年から2019年春にかけての停滞(横ばい)期、そこから2020年夏までの上昇期、2024年初までの停滞(横ばい)期、現在までの上昇期に分けることができるが、前回の上昇期は1トロイオンスが1300ドルあたりから2000ドル近辺への上昇であったが、今回は2000ドルあたりから4000ドル近辺への上昇だ。

 金先物価格は一般論として、米国実質金利と逆相関の関係にあるが、2024年以降の上昇期はそうした関係では説明できない動きとなっており、価格形成に大きな構造変化が起きている。

制裁リスクへの備えを意識する非米国同盟国

 中国人民銀行は2025年9月末現在、11カ月連続で外貨準備として金の購入を続けている。2022年11月から2024年4月まで18カ月連続で買い増した時期もあり、中国の方向性は明らかだ。中国の他にはロシア、トルコ、ポーランド、インドといった国々がここ数年、積極的な金買いを進めている。ウクライナ侵攻に対する米国の制裁として、ロシアがドル経済圏から締め出されたことが、非米国同盟国に対して制裁リスクへの備えを強く意識させている。米中対立、中東での軍事的な緊張、トランプ政権による孤立主義、米国の外交的な影響力の低下なども加わり、主権防衛を目的とした「ドル依存からの脱却」が進められている。

 Crescat Capitalによれば、世界全体の中央銀行(ただし、FRBを除く)における金による外貨準備比率は現在、初めて米国債による外貨準備比率を超えたと推計されている(カン財、9/30)。一方、南アフリカ、オーストラリアといった伝統的な金産出国の資源が枯渇しつつあり、ワールド・ゴールド・カウンシリングの予想によれば、2025年の金供給量は2.3%減少するようだ。

 他国に対して大幅な関税を賦課すると宣言する一方、条件交渉の余地を与え、関税率引き下げと引き換えに米国側に有利な対内投資を要求するような相互関税政策という名の覇権行動への各国の反発は大きい。しかし、経済、金融、軍事力で依然として大きな力を持つ米国に対して、各国ができる主権防衛は限られる。ドル依存からの脱却、そのための外貨準備の分散化、ドルに代わる安全資産である金への需要は拡大し続けるだろう。

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