高市総裁で株高期待?「積極財政」への転換シナリオ
高市氏はこれまでの発言から、積極財政・成長志向を打ち出す政治家として知られています。財政中立傾向のあった小泉氏とは対照的で、財政出動による景気刺激策への期待が高まっています。
特に注目されているのが、高市氏が掲げる経済政策です。これはアベノミクスの後継路線を強く意識しており、「金融緩和・積極財政・成長戦略」の三本柱で経済成長を目指す姿勢が貫かれています。
具体的には以下のような政策が柱とされています。
・インフレ目標2%を維持したうえでの金融緩和の継続
・財政規律よりも実体経済の回復を優先
・デジタル、防衛、先端技術、エネルギー安全保障といった成長分野への国家主導の投資
これらの方針に対し、経済界からは「産業支援型の国家資本主義的な色合いが強い」と評する声も上がっています。
こうした期待を背景に、株式市場では「景気後退リスクよりも、成長促進による企業収益の改善」に目が向き、内需株や建設・防衛関連、再エネ・インフラ系銘柄への物色が強まる展開となりました。
短期的には外国人投資家による日本株回帰の流れとも重なり、政治主導の経済刺激策への期待が相場を押し上げる構図が強まりそうです。
「利上げアホ発言」に見る金融政策へのスタンス
高市氏といえば、1年前の総裁選の際に「今利上げするのはアホやと思う」と発言したことがあり、利上げには否定的な立場を取っていると見られています。今回の就任により、金融政策への圧力が再び強まる可能性があり、日銀の利上げ判断に対するハードルは一段と上がったと考えられるでしょう。
この影響もあり、為替市場で1ドル=152円を超える円安が進行しました。「積極財政+円安」の組み合わせは、強烈な株高をもたらす一方で、インフレ圧力の再燃といった副作用にも警戒が必要です。
10月後半の重大イベントに注意
もともと10月は、株式市場にとって“鬼門”とも言われる月です。1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショックなど、大きな下落が相次いだことから、「10月は変動率が高まりやすい」というアノマリーが意識されています。
すでに日経平均は史上最高値を更新しており、株価の初動が急騰となった今、今後はテクニカル指標において過熱感を示すサインも散見されてくるでしょう。
このような状況で迎える今後の重大イベントは、事前に把握しておく必要があります。10月15日には首相指名選挙が行われ、正式に新しい首相が選出されます。その後、10月27日~29日には日米首脳会談が予定されており、アメリカのトランプ大統領が来日します。これと同時期に、主要企業の決算発表がピークを迎えます。さらに、10月29日~30日には日米の中央銀行会合が開かれ、政策内容が発表される予定です。
いずれのイベントも、内容次第では株価を大きく動かすサプライズとなり得るため、株価の変動幅の大きさには引き続き注意が必要です。